移行前の考慮事項
物理コンピュータを RHEV 環境に移行するには、次の 2 つの手順を実行します。最初に、中間ストレージの .tib ファイルにコンピュータのイメージを作成します。次に、このイメージを新規または既存の RHEV 仮想コンピュータに配置します。Acronis Backup & Recovery 11.5 は、設定済みの新しい仮想コンピュータを RHEV エクスポート ドメインに直接作成できます。必要なデータ センターにそれをインポートするだけです。
コンピュータのイメージは、バックアップ ソフトウェアを使用して作成されるため、「バックアップ」とも呼ばれます。
移行方法を選択するときは、次の項目について考慮する必要があります。
中間ストレージの選択
イメージを保存する場所を決定します。デフォルト レベルのデータ圧縮では、必要なストレージ領域は移行されるデータ量の約 70% です。SMB(CIFS)または NFS ネットワーク共有、または移行されるコンピュータの固定ディスクを使用することを検討してください。USB ドライブなどの外部デバイスもサポートされます。
コンピュータ全体を移行するか、一部のディスクを除外するか
iSCSI HBA を使用してコンピュータに接続されているストレージがある場合は、イメージから除外します。移行が完了してから iSCSI ソフトウェア イニシエータを使用すると、作成された仮想コンピュータにこのストレージを追加できます。
ファイバ チャネル接続のストレージは、RHEV 仮想コンピュータには追加できません。そのストレージが作成された仮想コンピュータ上で必要な場合は、イメージに含めてください。ストレージが仮想ディスクに変換されます。不要な場合はストレージをイメージに含めません。
イメージングの方法: ホットかコールドか
イメージは、オペレーティング システム下(ホット イメージング)またはブータブル メディア下(コールド イメージング)で取得することができます。次の項目について考慮する必要があります。
- サーバーのリブート/ダウンタイムが許容範囲か
コールド イメージングでは、イメージ作成対象のコンピュータがオフラインになって、必要なサービスを提供できなくなります。
- 作成結果のコンピュータで Acronis ソフトウェアが必要か
ホット イメージングでは、物理コンピュータに Acronis エージェントがインストールされている必要があります。そのエージェントは、移行されるシステムにも存在する必要があります。Acronis Backup & Recovery 11.5 を使用してバックアップする計画の場合、既にエージェントがインストールされていることが利点になります。システムにソフトウェアを追加することが許容できない場合は、コールド イメージングを使用します。
- 移行をスケジュールする必要があるか
ホット イメージングを使用する移行は、スケジュールすることができます。これは、仮想の「スタンバイ」サーバーをアップデートするときに便利です。コールド イメージングは対話的に実行されます。
- 元のシステムに対する最新の変更が移行後のシステムに含まれない場合、それが重大な問題になるか
ホット イメージングが開始されると、Acronis Backup & Recovery 11.5 は物理コンピュータのスナップショットを取得します。次に、そのスナップショットのデータを圧縮して、指定されたロケーションに保存します。このプロセス中に、元のシステムに対する変更が発生することがあります。その変更はスナップショットに含まれないため、移行後のシステムには転送されません。その物理コンピュータの使用をやめる場合、最後の変更を失うことになります。データ損失を避けるには、コールド イメージングを使用します。
配置方法: 変換か復元か
Acronis Backup & Recovery 11.5 は、イメージが作成されるとすぐに、自動的に配置します。この方法は、「仮想コンピュータへの変換」と呼ばれます。作成される仮想コンピュータは、元のコンピュータと似ています。配置を独立した操作(復元)として設定する場合、コンピュータの設定(ディスクの追加/削除/サイズ変更)を変更して、仮想コンピュータのメモリを設定できます。
復元中にディスクのサイズを変更すると、新しく作成されたディスクが常に Raw フォーマットになるため、良い方法と言えます。データ サイズがディスク サイズより大幅に小さい場合、不要に大きい領域を占有することになるためです。領域を節約する別の方法は、先にディスク サイズを最適化して作成された仮想コンピュータに復元することです。
仮想コンピュータを作成するのは Acronis かユーザー自身か
次の項目について考慮する必要があります。
- 論理ボリュームを再作成するか、ベーシック ボリュームに変換するか
Acronis によって作成されるコンピュータは常にベーシック ボリュームです。イメージに論理ボリュームまたは MD デバイスが含まれる場合、それらはベーシック ボリュームに変換されます。Windows システムで使用しているダイナミック ボリュームでも同じ結果になります。Acronis が GRUB と標準 Windows のローダーを適切にアップデートするため、オペレーティング システムはブータブルのままです。カスタム ブート ローダーは、手動で再アクティベーションすることが必要になります。
元の LVM 構造が再生成されるのは、先に RHEV 仮想コンピュータを作成して、ブータブル メディアから起動した場合です。次に、[RAID/LVM の適用] を有効にして復元を実行するか、手動で LVM 構造を作成してから、このオプションを無効にして復元を実行します。
復元中にダイナミック ボリュームを再作成するためのオプションはありません。作成されるコンピュータにダイナミック ボリュームが必要な場合は、ブータブル メディアのディスク管理機能を使用してボリューム グループを作成します。次にそれらのボリュームに復元を実行します。
- Universal Restore に必要なドライバを準備できるか
Acronis 自体が仮想コンピュータを作成してイメージを配置するとき、そのコンピュータに必要なドライバやモジュールをソフトウェアが判断するため、必要なドライバは自動的にインストールされます。ユーザーがコンピュータを作成してブータブル メディアから起動すると、Acronis によって物理コンピュータとして処理されます。そのため、Universal Restore を明示的に適用して、必要なドライバへのパスを指定することが必要になります。ドライバを使用するフロッピー ディスクの ISO は、RHEV ISO ドメインにあります。デフォルトの名前は virtio*.iso です。