重要なポイント
エアギャップネットワークとは、インターネットを含む信頼性の低い外部ネットワークと直接的な接続を一切持たないよう隔離されたネットワークです。産業用制御システム、SCADA ネットワーク、および安全性が極めて重要なインフラを保護するために広く利用されています。
**エアギャップは確かに有効ですが、絶対的なものではありません。**攻撃者は、USB 経由のマルウェアやサプライチェーン侵害、委託業者が使用するノート PC、資産台帳に記載のない無線通信経路などを悪用して、エアギャップを日常的に突破しています。Honeywell の『2024 USB Threat Report (2024 年 USB 脅威レポート)』によると、USB マルウェアの 50% 以上が、現在ではリムーバブルメディアを介した感染拡大を目的として作られており、その割合は2019 年の 9% から大幅に上昇しています。
**エアギャップ環境内では、従来型のセキュリティツールは機能しません。**クラウドコンソール、シグネチャベースのウイルス対策、オンラインバックアップなどはすべて、エアギャップ環境では存在しないネットワーク接続を前提としています。
**エアギャップ環境にあるデータを効果的に保護するには、4 つの要件があります。**オフラインでも動作する振る舞いベースの保護、エアギャップ環境にネイティブ対応したバックアップと復旧、リムーバブルメディアの制御、そして現場スタッフ自身が実行できる復旧機能です。
**Acronis Cyber Protect for OT はこれらを実現するために特別に設計されています。**Active Protection はオフライン環境でも機能します。Acronis Cyber Protect Local は OT ネットワークの内側でプラットフォーム全体を完全に管理します。Universal Restore はレガシーなハードウェアにも対応します。提供元では IEC 62443-4-1 認定を取得しています。
エアギャップネットワークとは?
エアギャップネットワークとは、公共インターネットやその他の信頼性の低いネットワークに対して、物理的・無線のいずれの直接接続も持たないネットワークです。データの入出力は、リムーバブルメディア、手動によるファイル転送、または単方向ゲートウェイなど、厳格に管理された方法に限定されます。製造業、エネルギー、水道、石油・ガス、製薬などの分野における産業用制御システムや SCADA ネットワーク、さらに機密性の高い政府システムや安全性が極めて重要なインフラを保護するために広く使用されています。
OT 環境におけるエアギャップは、Purdue 参照アーキテクチャの考え方と整合しています。レベル 0〜2 は完全に隔離されています。レベル 3 は一般的にファイアウォールや DMZ を介して部分的に隔離されています。レベル 4〜5 は企業の IT ネットワークと接続されています。現代の工場環境において、完全なエアギャップを維持しているケースは少なく、多くは、完全隔離型から、定期的なデータ交換を許可するハイブリッド型、論理的なセグメント分離型まで、さまざまな段階が存在しています。
エアギャップが突破可能である理由
攻撃者はエアギャップネットワークを日常的に突破しています。USB やリムーバブルメディアが主な侵入経路です。Honeywell の『2024 USB Threat Report (2024 年 USB 脅威レポート)』によると、現在では USB マルウェアの 50% 以上が、リムーバブルメディアを介した拡散に特化して設計されており、産業施設が依存するエアギャップを回避することを目的としています。
報告されている攻撃キャンペーンには、次のような事例があります。Zscaler ThreatLabz の分析による、北朝鮮系 APT37 が USB ベースのインプラントを展開してエアギャップ環境システムへ攻撃した例(2025 年 12 月)、ESET の記録における、GoldenJackal が EU 政府機関を標的にした活動(2022 年~2024 年)、そして カスペルスキーの報告による、東欧の産業システムを標的とした APT31 による侵入事例です。2010 年に発生した Stuxnet は、いまだにUSB を侵入口としたサプライチェーン型攻撃の代表的な事例です。
エアギャップを突破する経路は、USB だけではありません。感染したノート PC を持ち込む OEM サービスエンジニアや委託業者、検証されていないソフトウェアアップデート、さらに Bluetooth、保守ツールの Wi-Fi など、資産台帳に記載のない無線機能などがあります。これらは、台帳が更新されないまま放置され、想定していた隔離状態が損なわれてしまうことがあります。
従来のセキュリティツールがエアギャップ内で機能しない理由
多くの企業向けセキュリティツールは、常時接続された環境での利用を前提として設計されています。エアギャップネットワーク内では、一般的な前提条件のいくつかが成り立たちません。
- クラウド管理コンソールは、ネットワーク経由でアクセスできないエンドポイントは認識できません。
- シグネチャベースのウイルス対策は、定期的なアップデートが行われないと、最新の脅威に対応できなくなります。
- クラウドファーストのバックアップは、バックアップ先にアクセスできることを前提としています。エアギャップ環境のバックアップでは、ローカルストレージが第一の保存先になる必要があります
- レガシー OS のサポートは、現在のツールの多くが提供していません。OT 製造現場では、OEM 認定アプリケーションが特定のバージョンでしか動作しないため、Windows XP、Server 2003、さらに古い Linux カーネルが今でも使われています。
- 現場の担当者が主導する復旧処理が整備されていません。一般的な企業向けバックアップ製品は、復旧時に IT エンジニアがシステムを操作できることを前提に設計されています。
エアギャップ OT 環境で有効な 6 つの対策
これらの対策は、IEC 62443-3-3(SR 7.3: データバックアップの完全性、SR 7.4: システム復旧)および NIST SP 800-82 Rev.3 の代替的管理策に関するガイダンスに対応しています。
- エアギャップネットワーク上の全デバイスを対象とした検証済み資産台帳の整備: 対象には、PLC、RTU、HMI、SCADA サーバー、エンジニアリングワークステーション、ヒストリアンが含まれます。この確認作業によって、記載されていない無線通信や携帯通信の経路が明らかになることがよくあります。
- リムーバブルメディアの管理: 承認された USB デバイスのみを使用し、施設入口に無害化ステーションを設置するとともに、不要な USB ポートを無効化し、監査ログを記録します。
- オフラインに対応した振る舞いベース保護: クラウド経由のシグネチャアップデートを必要とせず、ランサムウェアの振る舞い、異常なプロセス活動、不正な暗号化を検知します。Acronis Active Protection はオフライン環境でも動作できるよう設計されています。
- エアギャップネイティブのバックアップと復旧: HMI、SCADA、エンジニアリングワークステーションをローカルストレージへイメージ形式で保護し、現場担当者によるワンクリック復元、異なるハードウェアへの復元、復元前のバックアップスキャンを実行します。
- **外部から持ち込まれるすべてのファイルの無害化:**振る舞いスキャン、コンテンツの無害化と再構成、ベンダーのチェックサムを用いたハッシュ確認を実施します。
- 保護ツールの製造現場での管理: 管理コンソールを OT ネットワーク内部だけで完全に稼働させます。Acronis Cyber Protect Local はまさにこれらの機能を提供します。
Acronis Cyber Protect for OT がエアギャップ環境を支える仕組み
Acronis Cyber Protect for OT は、OT バックアップおよび復旧分野で、エアギャップ運用にネイティブ対応するよう設計された唯一のプラットフォームです。既に、ABB、Schneider Electric、Toyota、Tata Steel、Sasol、BDR Pharmaceuticals の各社における実運用環境に導入されています。
コンプライアンス要件への適合
IEC 62443-3-3 の SR 7.3およびSR 7.4 では、それぞれバックアップの完全性とシステム復旧を規定しています。IEC 62443-4-1 は、サプライヤーのセキュアソフトウェア開発ライフサイクル(SSDLC)に関する要件を規定しており、アクロニスはこの認証を取得しています。NIST SP 800-82 Rev 3 は、レガシーシステム向けの代替的管理策に関する指針が示されています。NIS 2 第 21 条は、Essential Entities(必須事業者)およびImportant Entities(重要事業者)に対し、事業継続、バックアップ管理、ディザスタリカバリの実施を求めています。NERC CIP-007 および CIP-009 は、大規模電力システム(Bulk Electric System)におけるシステムセキュリティ管理と復旧計画に関する要件を定めています。GxP 規制は、製薬業界のデータ完全性に関する要件を規定しています。エアギャップ環境に対応したバックアップは、これらすべての要件への対応を支える中核的な技術的対策です。
よくあるご質問
エアギャップネットワークは本当に安全ですか?
エアギャップは強力な対策ですが、絶対的なものではありません。攻撃者は、USB マルウェア、サプライチェーンの侵害、委託業者のノート PC、資産台帳にない無線経路を通じて、エアギャップネットワークを日常的に突破しています。エアギャップは防御層の 1 つとして位置付け、オフライン対応の振る舞いベース保護、リムーバブルメディア対策、堅牢なバックアップと復旧を組み合わせて運用することが重要です。
Acronis Cyber Protect for OT は完全なエアギャップ環境に導入できますか?
はい。Active Protection はオフライン環境でも機能します。Acronis Cyber Protect Local は、OT ネットワーク内で完結する製造現場管理を提供します。保存先には、ローカルディスク、NAS、SAN、プライベートクラウド、Acronis Cloud から選択でき、各製造現場のポリシーに沿って設定できます。
エアギャップでのバックアップは、不変バックアップやオフラインバックアップとどう違いますか?
エアギャップネットワークは、運用環境そのものを指します。不変バックアップは、変更や削除から保護されたバックアップコピーです。オフラインバックアップとは、本番環境から物理的に切り離されたバックアップコピーです。包括的な OT データ保護アーキテクチャでは、通常、これら 3 つをすべて組み合わせて運用します。
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Acronis について
2003年にシンガポールで設立されたスイス企業であるアクロニスは、世界15か所にオフィスを置き、60か国以上に従業員を擁しています。Acronis Cyber Platformは150か国に26言語で提供され、21,000社を超えるサービスプロバイダーに採用され、75万社以上の企業を保護しています。




