新入社員向けのPC準備、PCリプレース、拠点の新設、教室や研修環境の端末更新など、複数のPCを短期間でセットアップしなければならない場面は少なくありません。
PCが数台であれば、担当者が1台ずつ設定する方法でも対応できます。しかし、20台、50台、100台と台数が増えるにつれて、同じ作業を何度も繰り返すことになり、情報システム部門やIT担当者の大きな負担になります。
OSの設定、アプリケーションのインストール、ネットワーク設定、各種業務設定などをPCごとに繰り返している場合、PCキッティングの方法そのものを見直すことで作業を効率化できる可能性があります。
この記事では、PCキッティングで発生しやすい課題と主な自動化方法、マスターイメージを使った一括展開の仕組みについて解説します。
PCキッティングとは?
PCキッティングとは、新しく導入したPCを従業員が業務で利用できる状態にするために行う一連のセットアップ作業です。
企業や組織によって内容は異なりますが、一般的には次のような作業が含まれます。
· OSの初期設定
· ネットワーク設定
· 業務アプリケーションのインストール
· 各種システム設定
· PC名やユーザー情報などの設定
· ドライバーの設定
· セキュリティ設定
· 動作確認
1台だけであれば、それぞれの設定に必要な時間はそれほど大きく感じないかもしれません。
しかし、同じ作業を数十台、数百台に対して行う場合、作業時間はPCの台数に応じて増えていきます。
そのため、一定数以上のPCを管理する企業では、「1台あたりの設定時間を短縮する」だけでなく、「同じ設定作業を何度も繰り返さない仕組みを作る」ことが重要になります。
手作業によるPCキッティングで起こりやすい4つの課題
1. 同じ設定作業を台数分繰り返す必要がある
手作業によるキッティングでは、OS設定、アプリケーションのインストール、各種設定など、ほぼ同じ作業をPCごとに行うことになります。
仮に1台あたりの作業時間がそれほど長くなくても、
1台あたりの作業時間 × PC台数
で考えると、まとまった台数の導入時には大きな工数になります。
特にPCリプレースや新入社員の入社時期など、短期間で多数のPCを準備する必要がある場合には、通常のIT運用業務を圧迫する原因にもなります。
2. PC導入のタイミングに作業が集中する
PCキッティングは一年を通じて均等に発生するとは限りません。
例えば、
· 4月の新入社員入社
· PCリースの更新
· Windows PCの入れ替え
· 新拠点の開設
· 学校や研修施設の年度更新
· 大規模な端末追加
など、特定のタイミングに作業が集中するケースがあります。
日常業務と並行して大量のPCを準備することになれば、情報システム担当者への負荷はさらに高まります。
3. 設定漏れや設定内容のばらつきが発生しやすい
手作業では、手順書を用意していても設定漏れや入力ミスが発生する可能性があります。
また、複数の担当者が作業する場合には、作業方法や設定結果に差が生じることもあります。
企業として標準的なPC環境を維持するには、作業を人の記憶や経験だけに依存させず、できるだけ再現性の高い方法にすることが重要です。
4. キッティングのノウハウが担当者に集中する
スクリプトや独自のUSBメディア、社内専用の手順などを長期間使っている場合、「その仕組みを理解している担当者しか作業できない」という状態になることがあります。
担当者の異動や退職によって運用が難しくなることを防ぐためにも、PC展開作業を標準化しておくことが重要です。
PCキッティングを自動化・効率化する主な方法
PCキッティングを効率化する方法は1つではありません。
PC台数、導入頻度、IT環境、ネットワーク構成、管理方法などによって適した方法は異なります。
代表的な方法を見てみましょう。
キッティング手順を整理し、PowerShellやバッチファイルなどを利用して一部の設定を自動化する方法です。
比較的少ない台数であれば有効ですが、OSやアプリケーションを含めたPC環境全体をセットアップする場合には、複数の工程を組み合わせて管理する必要があります。
USBメディアなどを利用する
セットアップ用のファイルやスクリプトをUSBメモリなどに保存し、各PCで作業する方法です。
ネットワーク環境に依存しにくい一方、PCごとに作業を行う必要がある場合には、台数が増えるほど担当者の作業量も増えていきます。
Microsoft IntuneやWindows Autopilotなどを利用し、クラウド経由でPCへ設定やアプリケーションを適用する方法もあります。
新しいPCをユーザーへ直接届ける運用や、クラウド中心のデバイス管理を行う企業では有力な選択肢です。
一方、あらかじめ構築した標準PC環境をイメージとして多数の端末へ複製したい場合には、次に紹介するマスターイメージ展開が適しているケースがあります。
マスターイメージを複数PCへ展開する
基準となるPCにOS、アプリケーション、設定などを構成し、その環境を「マスターイメージ」として作成して複数のPCへ展開する方法です。
PCごとに同じセットアップを最初から繰り返す必要を減らせるため、標準化されたPCをまとまった台数準備する場合に適しています。
次のような環境では、マスターイメージを利用したPC展開を検討する価値があります。
PCリプレースでまとまった台数を入れ替える
数十台、数百台のPCを一度に更新する場合、1台ずつOSやアプリケーションを設定する方法では大きな工数が発生します。
標準環境をあらかじめ作成しておけば、同じ構成のPCを効率的に準備できます。
新入社員向けPCをまとめて準備する
新卒採用や組織拡大などで多数のPCを短期間に用意する場合にも、一括展開は有効です。
毎回同じアプリケーションや設定を適用するのであれば、標準環境を再利用することで作業の繰り返しを減らせます。
学校、PC教室、研修室の端末を展開する
学校のPC教室や研修施設では、同じ構成のPCを多数設置するケースがあります。
標準化された環境を複数端末へ展開することで、セットアップ作業を効率化できます。
PC販売、リース、SIerなどで大量のPCを準備する
顧客向けのPCキッティングそのものが業務となっている場合、1台あたりの作業時間を削減することは、業務全体の効率化につながります。
異なる機種のPCへ標準環境を展開する
企業ではPCを一度にすべて同じ機種へ統一できるとは限りません。
導入時期によって異なるメーカーやモデルが混在する場合、ハードウェアの違いを考慮した展開方法が必要になります。
Acronis Snap Deployでは、マスターイメージを作成し、複数のPCやサーバーへ展開できます。
Acronis Snap DeployでPCキッティングを効率化する仕組み
Acronis Snap Deployは、OS、アプリケーション、ファイル、設定などを含むマスターイメージを作成し、複数のPCやサーバーへ展開するためのデプロイメントソリューションです。
PCごとに同じセットアップを繰り返すのではなく、標準となる環境を作成し、それを必要な端末へ展開することでPC準備作業の効率化を支援します。
OS、アプリケーション、設定を含むマスターイメージを作成
まず、基準となるPCに必要なOS、アプリケーション、ファイル、各種設定を構成します。
その環境をマスターイメージとして保存し、以降のPC展開に利用できます。
これにより、PCごとに同じアプリケーションをインストールしたり、同じ設定を繰り返したりする作業を減らすことができます。
複数のPCへまとめて展開
Acronis Snap Deployは、ユニキャストおよびマルチキャストによる展開に対応しています。
まとまった台数のPCへ標準環境を展開したい場合、PCを1台ずつセットアップする方法に比べて、展開作業を効率化できます。
Universal Deployで異なるハードウェアへの展開を支援
PCリプレースを進める中で、すべての端末が同じメーカーや同じモデルになるとは限りません。
Acronis Universal Deployを利用すると、必要なHAL(Hardware Abstraction Layer)やストレージコントローラー、ネットワークアダプターなどのドライバーを適用し、異なるハードウェアへのイメージ展開を支援できます。
そのため、複数機種が混在する環境でも、標準イメージを活用しやすくなります。
PXEやブータブルメディアなど複数の展開方法に対応
PC展開の環境は企業によって異なります。
Acronis Snap Deployでは、ネットワーク経由の展開に加え、PXEサーバーやブータブルメディアなどを利用した展開方法にも対応しています。
ネットワーク環境や運用方法に合わせて展開方法を選択できます。
Windows PCのほかサーバーやLinux環境にも対応
Acronis Snap Deployは、Windows 11やWindows 10を含むWindows環境のほか、Windows ServerやLinuxのイメージング、展開にも対応しています。
対応OSや各OSで利用できる機能には条件があるため、実際の導入前には最新のシステム要件をご確認ください。
PCキッティングの自動化を検討したいタイミング
「今の方法でもPCを準備できているから、特に変える必要はない」と考えるケースもあるでしょう。
しかし、次のようなタイミングはキッティング方法を見直す良い機会です。
PCリプレースを予定している
まとまった台数のPC更新は、現在のキッティング方法にどれだけ工数がかかっているのかを把握する機会になります。
次回のリプレース前に新しい展開方法を試しておけば、本番の大量展開に備えられます。
Windows 11 PCへの更新を進めている
Windows 11対応PCへの更新に伴い、端末の入れ替えが発生する企業では、ハードウェア更新だけでなくキッティング方法も見直すことで、今後のPC展開を標準化しやすくなります。
新入社員や増員に伴いPC台数が増えている
これまで数台ずつの設定で対応できていても、組織の拡大によってPC準備の頻度が高まれば、手作業の負担も増えていきます。
キッティングを担当できるIT人員が限られている
情報システム部門の業務は、PC準備だけではありません。
セキュリティ対策、ネットワーク、クラウドサービス、ユーザーサポートなど幅広い業務を少人数で担当している場合、繰り返し作業を減らすことは重要な改善ポイントになります。
既存のツールや社内独自の仕組みを長期間利用している場合も、契約更新やPC更改などのタイミングで改めて現在の要件に合っているか評価することができます。
PCキッティングは何台くらいから自動化すべき?
「何台以上なら専用のキッティングツールを導入すべきか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
しかし、一律に「○台以上」と決められるものではありません。
重要なのは、単純なPC台数ではなく、
1台あたりの作業工程 × 展開する台数 × 作業が発生する頻度
で考えることです。
例えば、一度に展開するPCが10台程度でも、それが毎月発生するのであれば年間では多くの作業時間になります。
一方、100台のPCを管理していても、PCの追加や入れ替えがほとんど発生しない環境では、キッティング自動化の優先度は低い場合があります。
次のような質問に当てはまる項目が多い場合は、現在の方法を一度見直してみてもよいでしょう。
· 同じ設定作業を何度も繰り返している
· 年に何度か大量のPC準備が発生する
· PCリプレースを予定している
· PCの機種が複数存在する
· 設定ミスや確認作業に時間がかかっている
· キッティングできる担当者が限られている
· 通常業務を止めてPC準備をしている
PCキッティングとは何ですか?
PCキッティングとは、新しいPCを従業員が業務で使える状態にするために、OS、ネットワーク、アプリケーション、各種設定などを行う作業です。
企業によって必要な作業内容は異なります。
PCキッティングは自動化できますか?
はい。スクリプト、クラウド型プロビジョニング、マスターイメージ展開など、複数の方法があります。
どの方法が適しているかは、管理するPC台数、展開頻度、ネットワーク環境、デバイス管理方法などによって異なります。
PCキッティングを自動化するメリットは何ですか?
主なメリットは、同じ設定作業を繰り返す工数を減らし、PC展開プロセスを標準化しやすくなることです。
また、人手で行う工程が減れば、設定漏れや作業内容のばらつきを抑えることにもつながります。
異なるメーカーや機種のPCにも同じイメージを展開できますか?
Acronis Snap Deployでは、Acronis Universal Deployを利用して異なるハードウェアへのイメージ展開を支援できます。
実際の対応可否は対象となるPCやドライバーなどの条件によって異なるため、導入前に自社環境でのテストをおすすめします。
Windows 11のPCにも展開できますか?
Acronis Snap DeployはWindows 11のイメージングおよび展開に対応しています。
対応するエディションや最新のシステム要件については、Acronis Snap Deployの公式ドキュメントをご確認ください。
Windows Autopilotとマスターイメージ展開は同じものですか?
同じものではありません。
Windows Autopilotは、PCにあらかじめインストールされているWindowsを利用し、クラウド経由で設定やポリシー、アプリケーションなどを適用するプロビジョニング方式です。
一方、Acronis Snap Deployは、あらかじめ作成したマスターイメージを複数の端末へ展開する方式です。
どちらが適しているかは、企業のPC管理方法や展開要件によって異なります。
PCキッティングを「1台ずつの作業」から見直してみませんか?
PCキッティングは、新しいPCを導入するたびに必要になる業務です。
数台程度であれば手作業でも対応できますが、PC台数や展開頻度が増えるにつれて、
· 同じ設定を何度も繰り返す
· 特定時期に作業が集中する
· 設定内容にばらつきが出る
· IT担当者の時間がPC準備に取られる
といった問題が起こりやすくなります。
PC展開の効率化で大切なのは、単に1つひとつの作業を速くすることではありません。
「同じセットアップをPCごとに繰り返さない仕組みを作ること」がポイントです。
Acronis Snap Deployでは、OS、アプリケーション、設定を含むマスターイメージを作成し、複数のPCやサーバーへ展開できます。
現在のPCキッティング方法をどこまで効率化できるか、まずは実際の環境で確認してみてください。
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操作方法を先に確認したい方は、Acronis Snap Deployのオンデマンドデモもご覧いただけます。
Written by
Acronis について
2003年にシンガポールで設立されたスイス企業であるアクロニスは、世界15か所にオフィスを置き、60か国以上に従業員を擁しています。Acronis Cyber Platformは150か国に26言語で提供され、21,000社を超えるサービスプロバイダーに採用され、75万社以上の企業を保護しています。





