2012年2月7日
プレスリリース

「アクロニス世界障害復旧評価指標:2012」を発表

~日本が前年に引き続き、バックアップとリカバリに対する信頼性調査で、世界第3位を継続~
~東日本大震災の影響で、企業トップの事業継続性計画への意識向上が顕著~
~日本の中堅・中小企業では、バックアップ/ディザスタリカバリの導入にコストの壁~

【2012 年 2 月 7 日付プレスリリース】

物理環境、仮想環境、クラウド環境に対応した使いやすいバックアップと復元のソリューションを提供するリーディングカンパニーであるアクロニス社(本社:米国マサチューセッツ州/日本(アクロニス・ジャパン):東京都港区、代表取締役 村上 督、以下:アクロニス)は、世界18 ヶ国の企業IT管理者を対象に、自社のバックアップ及びリカバリに関する信頼度調査を実施し(2011 年 9 月~ 10 月に調査を実施)、同調査の結果をまとめた「アクロニス世界障害復旧評価指標:2012」を発表しました。

本レポートは、こちらよりダウンロードが可能です。

この指標は、企業のバックアップとリカバリに関する信頼度と能力を国別に格付けするものです。企業は、この指標を活用することで、自社のバックアップ/ディザスタリカバリに対する信頼度と能力に関して、他国の同業者と比較し、改善に向けて必要な課題を把握することができます。

「世界障害復旧評価指標:2012」要旨

グローバルハイライト

世界の障害復旧評価指標:平均 14 % 上昇。特に、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリアにおける信頼度が約 30 % 上昇。

■ 日本ハイライト

  • 日本におけるバックアップ/ディザスタリカバリへの信頼度:日本は、前年同様 3 位にランクイン。特に、バックアップ、ディザスタリカバリに関するトップ層の支持率、バックアップ・ディザスタリカバリを実施するテクノロジの展開率が共に 10 % 上昇。企業トップ層の支持率は、18 ヶ国中 No.2。
  • 東日本大震災などの影響:日本では定期的にバックアップのテストを実施、事業継続計画の導入、ディザスタリカバリ、バックアップの作業を行えるスタッフのトレーニングをより多く実施。
  • 日本の中小・中堅企業:バックアップ・ディザスタリカバリ運用の予算は、IT予算全体の 6 % 足らずで、対前年比 1 % 減少。また、調査した企業のうち、40 % が「バックアップ、ディザスタリカバリの関する IT 予算がない」と回答。
  • ダウンタイム:日本の中小・中堅企業の 90 % が昨年ダウンタイムを経験。ダウンタイムの平均期間は、2.8 日。

各国動向:世界平均が前回調査比で 14 % アップ

2011 年は、世界の様々な地域で自然災害、政治不安や経済危機が起こり、不安定な 1 年でした。しかしながら、世界障害復旧評価指標では、全体平均で、バックアップ/ディザスタリカバリへの信頼度が対前年比で、14 % アップしました。理由として、「バックアップとディザスタリカバリを包括的に運用するリソースとテクノロジを有している」と回答した企業が 2 倍に増えたことが寄与していると考えられます。また、65 % の企業が「前年よりも定期的にバックアップテストを実行するようになった」とも回答しています。

しかしながら、バックアップ、ディザスタリカバリにかける IT 費用は、全体の 10 % 程度であり、47 % が「バックアップ、ディザスタリカバリの運用に関して支持をトップ層から得ていない」と感じています。また、システムのダウンタイムの一番の原因は、人為的ミスであるとの結果も出ました。

バックアップとディザスタリカバリを改善するために一番重要なことは、「物理、仮想、クラウドなど、ハイブリッドな環境に置かれたデータを統合的にバックアップするツールを活用すること」と、70 % の企業が回答しています。実際、企業はハイブリッド環境のデータをバックアップするために、2.35 個のツールを利用しており、仮想環境にあるデータの 33 % が物理サーバと比較するとバックアップの頻度が低いと回答しています。

世界障害復旧評価指標比較

国名 2011 2010 対前年
ドイツ 2.10 2.08 0.02
オランダ 1.98 2.02 -0.04
日本 1.90 1.88 0.02
香港 1.78 1.75 0.03
スイス 1.70 1.64 0.06
スウェーデン 1.58 1.24 0.34
ノルウェー 1.50 1.11 0.39
シンガポール 1.35 1.37 -0.02
インド 1.24 - -
アメリカ 0.76 0.56 0.20
イギリス 0.74 0.63 0.11
オーストラリア 0.59 0.25 0.34
サウジアラビア 0.57 - -
中国 0.17 - -
フランス -0.56 -0.92 0.36
イタリア -0.62 -0.65 0.03
ロシア -0.71 - -
ブラジル -0.96 - -
平均 1.14
(13か国)
1.00 0.14
  • 国別にみますと、前年度とあまり変わらず、上位にドイツ、オランダ、日本の 3 強が君臨し、スコア全体を引き上げています。
  • 一方、スコアがマイナスであった国は、フランス、イタリア、ロシア、ブラジルです。
  • 平均スコアの前年比では、ほぼ微量ながら上昇していますが、オランダ、シンガポールが対前年比で減少しました。
  • 今回大幅に伸びた国としては、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、フランス。自然災害や社会不安などを経験したにも関わらず、健闘しました。
  • 今回新たに加えられた、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)とサウジアラビアの 5 ヶ国のうち、トップ 10 にランクインしたのは、IT 化が進むインドだけという結果になりました。

日本動向:日本企業のバックアップ、リカバリへの信用度は、前年同様3位。東日本大震災を経験しても、高い信頼度を維持

日本のバックアップ/ディザスタリカバリへの信用度は、2011 年は 2 % アップし、1.90 となり(前年:1.88)、前年に引き続き、世界 3 位を維持しています。特に、前年と比較すると、トップ層の支持率(67 %)やバックアップ・ディザスタリカバリを実施するテクノロジの展開率(65 %)が、共に、対前年比 10 % アップしました。トップ層の支持率は、18 ヶ国中二番目に高く 2011 年 3 月に発生した東日本大震災に起因するバックアップ/リカバリに関する企業上層部の意識の変化を反映しています。

実際、大震災後バックアップ、ディザスタリカバリでどのような変化が起きたかという問いに対しては、以下のような回答が多くありました。:

  1. バックアップのテストをさらに定期的に実施(64 %)
  2. 事業継続プランを導入(57 %)
  3. ディザスタリカバリ、バックアップの作業を行えるスタッフのトレーニングをより多く実施(53 %)

一方、中小・中堅企業におけるバックアップと障害復旧運用の予算は依然厳しく、IT 予算全体の 6 % であり、さらに前年よりも 1 % 低下する結果となりました。また、調査した企業のうち、40 % が「バックアップ、ディザスタリカバリの関する IT 予算がない」と回答しています。実際、バックアップ、リカバリを実施する際の一番の懸念点は、「IT リソースの不足(23 %)」でした。

また、日本に関する調査における興味深い結果として、日本の中小・中堅企業では、世界で最も多くの新しいデータ(年間67TB)が生成され、この膨大なデータがバックアップされています(世界平均は40TB)。中小・中堅企業におけるデータの肥大化が顕著です。

しかし、大量のデータを抱えた中堅・中小企業の90%は、前年平均2.8日(世界平均の2.2日)のダウンタイムを経験しました。システムダウンの一番の原因は予定外のアップデートやパッチ(59%)、また、次いで、人為的ミス(58%)であるとの回答が多くありました。

まとめ: 

2011 年は世界の多くの地域で政治不安、経済危機、自然災害が起こり、多くの企業が自社の事業継続、そしてデジタル資産をどのように守り、また活用していくか、見直す年となりました。結果、前年よりもバックアップ、リカバリに対する信頼度は世界全体で 14 % アップし、東日本大震災を経験した日本でも、2 % アップする結果となりました。しかしながら、バックアップ導入の予算の低さ、またハイブリッド環境におけるバックアップの非効率さなど、課題が残ります。企業は、この障害復旧評価指標の結果と自社の状況を比較し、最も適したバックアップ/リカバリの施策を立て、それを実行していくことで、大切なデジタル資産を、効率的かつセキュアに保護していくことが求められています。

実施期間 2011年9月~10月
参加国 18ケ国
  • アジア太平洋: 日本、香港、シンガポール、中国、インド
  • ヨーロッパ: ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、オランダ、ノルウェー、スェーデン、スイス、ロシア
  • 中東: サウジアラビア
  • オセアニア: オーストラリア
  • アメリカ大陸: アメリカ、ブラジル   (*下線が引かれた地域が今回新規に追加された国々です。)
調査対象 IT担当者約6,000名 (日本は434名の回答)
調査実施会社 Ponemon Institute
調査方法 独自の中堅・中小企業(従業員1,000人以下の中間市場企業 *オーストラリアでは、500名以下)の有資格IT担当者サンプルを選び、オムニバス調査サンプリング方式とカスタム調査サンプリング方式を組み合わせてオンラインで実施。
分析方法 各設問の回答を重みづけし、集計。強く同意する=5、同意する=2.5、どちらともいえない=0、同意できない=-2.5、まったく同意できない=-5とした。


アクロニスについて:
アクロニスは、マネージドサービスプロバイダー(MSP)、中小企業(SMB)、およびエンタープライズ企業のIT部門向けに、ネイティブに統合されたサイバーセキュリティ 、データ保護、およびエンドポイント管理を提供するグローバルなサイバープロテクション企業です。アクロニスの効率性に優れたソリューションは、最小限のダウンタイムで最新のサイバー脅威を特定、防止、検出、対応、修復、復元し、データの完全性とビジネスの継続性を確保するように設計されています。 アクロニスは、多様で分散したIT環境のニーズを満たす独自の機能により、MSP向けに市場で最も包括的なセキュリティソリューションを提供しています。

アクロニスは2003年にシンガポールで設立されたスイス企業です。アクロニスは、世界15か所のオフィスと50カ国以上で拠点を擁しており、Acronis Cyber Protectソリューションは150カ国に26言語で提供され、2万社を超えるサービスプロバイダーで利用されており75万社を超える企業を保護しています詳細はwww.acronis.comをご参照ください。
プレス連絡先:
Katya Turtseva
VP of Communications