Acronis Cyber Protect Cloud で、 Google Workspaceのフルバックアップ体制を構築。データ紛失や破損に対するリスク管理が容易になり、ビジネスの安定性が高まりました。
事業の概要
株式会社バリューアップジャパン(以下、バリューアップジャパン)は2003年設立のコンサルティング会社です。「企業の価値向上を支援する」という企業理念のもと、ISO認証取得支援を主体に、ITサービス支援などを手掛けているほか、島根県津和野町にグループ会社Nex-E(ネクシー)を置き、コールセンター事業も受託しています。
バリューアップジャパン管理部で情報セキュリティの責任者を務める熊田洋子部長は、ISO認証取得支援事業について「現在はセキュリティへの関心の高まりを受けて、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やクラウドセキュリティ分野での支援が多いですね」と説明します。同じくセキュリティに関する認証として、政府が求めるセキュリティ要求を満たすクラウドサービスを評価、登録するISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)についても認証取得支援に多くの引き合いがあり「企業の規模を問わずに、情報セキュリティの体制整備への需要が高まっています」(熊田部長)。
ビジネス上の課題
バリューアップジャパンのなかで、サードパーティによるフルバックアップ体制の構築はこの数年の懸案事項に上がっていました。同社はグループ共通のグループウェアとしてGoogle Workspaceを利用しており、データ保持にはGoogle VaultというGoogle Workspaceの情報ガバナンスおよび電子情報開示ツールを利用していました。ただしこの仕組みでは万が一データを紛失・破損した際にデータ復旧に時間がかかり、ランサムウェアでデータが暗号化されるといったインシデントに対応できない事態が懸念されていました。
「ISO取得支援では顧客ごとに膨大な資料を作成します。機密性の高い書類ですので、コンサルタントらが手元のPCに保存することはなく、クラウド上で作業するように運用を徹底しています。だからこそ、クラウド上のデータを安全に保存し、何かあってもすぐに必要な資料にアクセスできるよう、二重のバックアップ体制をつくることが課題になっていました」と熊田部長は話します。
実際に過去に誤操作で一部のデータを紛失した局面では、熊田部長がGoogle Vaultの管理コンソールからデータを復元していたといいます。
「Vaultではフォルダ単位での検索や復元ができないため、必要なファイルを一つずつ検索して復元する必要があります。この作業にかなり手間がかかっていました。ファイル名から検索するといっても、膨大な書類のなかで正確なファイル名は覚えていなかった、記憶が誤っているケースも少なくありません。どうしてもキーワードからヒットしなければ、ファイルのありかを類推して目視で探していました。結果として、これまでは紛失したファイルを見つけることができていましたが、万が一大規模なデータ障害が起きたら、とても対応できなかったでしょう」
熊田部長は「過去にはGoogle Workspaceでデータの同期ができなかった、ファイルが消失するといったトラブルも起きていると聞きます。安全性の高いプラットフォームであるとはいえ、Google Workspaceのデータが完全に紛失する心配はない、と考えるのはセキュリティ上問題があります。どんなことが起きても対処できるよう、外部環境へのバックアップは急いで導入すべきと考えていました」と振り返ります。
ソリューション
新たなバックアップ環境を導入するうえで、バリューアップジャパンは二つの方向性を検討しました。一つが、Google Workspaceから、バックアップ機能が充実した他のクラウドサービスに移行することでした。実際にいくつかのサービスを検討したものの「従業員らが新たに操作を覚える必要があることに加え、アクセス権限を0から設定し直す必要があるなど膨大な手間がかかるため、できれば避けたいと感じていました」。
より現実的なプランとして検討したのが、Google Workspaceに対して外部のバックアップ環境を追加することでした。2年ほどクラウドのバックアップサービスを検討した結果「使い勝手やストレージの容量などの面で、当社の求める水準をすべて満たしていた」(熊田部長)としてAcronis Cyber Protect Cloudの採用を決めました。
特に評価したのは、バックアップ機能を簡単かつ速やかに追加できる点でした。熊田部長は「従来のGoogle Workspaceの作業環境を変えずにアドオンするだけで使えるのは大きな魅力でした」と説明します。コンサルタントやコールセンターのスタッフらは通常業務の手を止めることなく、スムーズな導入が可能だからです。さらにストレージ容量の制限がないため、動画や音声などもしっかりと保存できます。
「コールセンターではお客様とやり取りした音声データを保存するため、かなりの容量が必要です。スタッフがストレージ容量を気にせずに使える点もニーズに合っていました」
そのうえで決め手になったのは管理コンソールがわかりやすく、導入前に比べるとはるかにデータ復元がしやすい点でした。
「Acronis Cyber Protect CloudはGoogle Workspaceとディレクトリーの構成が全く同じで、一目見れば直感的に操作できます。フォルダ単位でのデータ復元も可能。スタッフの誤操作でデータを紛失した大規模なデータ障害があったとしても、これなら素早く対応できます。有事の業務継続を考えるうえで、当社にとって最適なツールだと感じました」
効果と展望
バリューアップジャパンは2023年12月、本社とグループ会社のネクシーにそれぞれ、アクロニスサービスプロバイダーである株式会社ソルパックのLOUDEL Cloud Defenceを通じてAcronis Cyber Protect Cloudを導入。熊田部長は「両社ともにセットアップはソルパック様にご支援いただいたおかげでスムーズに完了しました。その後はシステムの使いやすさのおかげもあり、社内で問題なく運用できています。仮にインシデントが起きて特定のファイルが見つけられなくなってしまったとしても、すぐにデータを復元できます。以前とは安心感が全く異なります」と高く評価します。
「Google WorkspaceやMicrosoft 365のようなSaaSがビジネスインフラとして浸透していく中で、プラットフォームに依存しないバックアップ体制の重要度は増しています。その点で、当社のように専任の情報システム担当者がいない企業でも扱えるAcronis Cyber Protect Cloudは多くの企業の助けになるはずです」
また熊田部長は、これからGoogle Workspaceの機能変更があった際にも、独自のバックアップ体制を持つことで選択肢が広がったと話します。「自前のバックアップの環境が整ったため、仮にGoogle WorkspaceでVault機能を制限するような変更があったとしても、業務への影響は最小限に止まるでしょう。一つのシステムに依存せず、複数の手段を用意したことでビジネスの安定性が高まったと感じます」と話します。今後はAcronis Cyber Protect Cloudのセキュリティ機能についても、導入を検討していく意向です。