Microsoft 365 上のデータは、クラウド上にバックアップすることもできます。しかし Microsoft は、ユーザーに限られたバックアップ機能しか提供していません。若干のデータ保持・復元機能は利用できますが、堅牢なバックアップおよび復元サービスへのアクセスはありません。ビジネス上、Microsoft はデータへのアクセスに焦点を当てているようです。データ保持とデータインテグリティはユーザーの責任です。
とはいえ、Microsoft には Microsoft 365 上のデータを 12 時間に 1 回バックアップする、ベーシックなバックアップ機能を提供しています。(そのデータはクラウド上に 14 日間保存されます)。
しかし、バックアップからファイルやフォルダを復元しようとすると、全データの復元を開始する必要があります。バックアップ全体を復元すると、指定の(ターゲット)ドライブにある全てのデータが上書きされてしまいます。また、それによって目標復旧時間(RTO)が非常に長くなり、最新のビジネスデータの完全なバックアップを新たにとらない限り、さらなるデータ損失につながります。
企業の規模やビジネス上の重要なデータ(文書、Eメール、チームチャット等)の量によっては、Microsoft 365 にもともと備わっているツールでは十分な保護とはなりません。さらに、Microsoft 365 にもともと備わっているバックアップは、「真のバックアップ」ではありません。つまり、Microsoft はユーザーの Microsoft 365 アカウントのデータを、プライマリデータセンターと同地域にある 2 つ以上の異なるデータリポジトリにミラーリングしています。ローカルベースの災害に対してはデータを保護できたとしても、人的エラーから保護することはできません。ミラーリングは同期の一形態であるため、プライマリネットワーク上のデータに加えられた変更が、次回の同期で両リポジトリに反映されてしまいます。よって、誤って重要な文書を削除してしまった場合、バックアップからもそのデータが消されるのです。
まとめると、Microsoft 365 はある程度のクラウドバックアップ機能しか持ちません。専門のサイバーセキュリティ機能や適切なバックアップツールに任せたいとお考えでしたら、サードパーティのバックアップソリューションのご利用を推奨します。