ここでは、Acronis Backup & Recovery 10 における GFS (Grandfather-Father-Son)バックアップ スキームの実装について説明します。
このバックアップ スキームでは、1 日に 2 回以上のバックアップを行うことはできません。 このスキームでは、日単位のバックアップ スケジュールで、日単位、週単位、および月単位の周期を指定し、日単位、週単位、および月単位のバックアップの保持期間を設定できます。 日単位のバックアップは「Son」と呼ばれ、週単位のバックアップは「Father」、最も長期の月単位のバックアップは「Grandfather」と呼ばれます。
テープ ローテーション スキームとしての GFS
GFS は当初、テープ ローテーション スキームとして作成され、多くの場合そのように呼ばれていました。 テープ ローテーション スキーム自体により、自動化が実現されるわけではありません。 このスキームでは、次のことのみが決定されます。
テープ ローテーション スキームを使用すると、最小限のカートリッジ数で対応し、使用済みのテープを再利用することができます。 GFS テープ ローテーション スキームのバリエーションについては、多数のインターネット リソースで解説されてます。 ローカルに接続されたテープ デバイスにバックアップを行う場合は、どのバリエーションを使用してもかまいません。
Acronis による GFS
Acronis Backup & Recovery 10 では、GFS スキームに従ってデータを定期的にバックアップし、作成されたアーカイブをクリーンアップするバックアップ計画を簡単に設定できます。
バックアップ計画は通常どおりに作成します。 バックアップ先については、HDD ベースのストレージ デバイスや自動テープ ライブラリなど、自動クリーンアップを実行できる任意のストレージ デバイスを選択します (クリーンアップ後にテープ上で解放される領域は、テープ全体が空きになるまで再使用できないため、テープ ライブラリで GFS を使用する場合は、さらにそのことについても考慮してください)。
以降では、GFS バックアップ スキームに特有の設定について説明します。
バックアップ計画の GFS 関連の設定
バックアップの開始時刻:
バックアップの実行日:
この手順では、バックアップ スケジュール全体を作成します。つまり、バックアップする必要のあるすべての日付を定義します。
平日の午後 8:00 にバックアップすると仮定します。 定義した全体のスケジュールは次のようになります。
「B」は「バックアップ」を表します。
全体のスケジュール
スケジュール: 平日の午後 8:00
週単位/月単位
この手順では、スケジュールに日単位、週単位、および月単位の周期を設定します。
前の手順で選択した日付から曜日を選択します。 この曜日に作成される最初、2 番目、3 番目のバックアップは週単位のバックアップと見なされます。 この曜日の 4 番目に作成されるバックアップは月単位のバックアップと見なされます。 その他の曜日に作成されるバックアップは日単位のバックアップと見なされます。
[週単位/月単位]のバックアップで金曜日を選択したとします。 選択内容に従ってラベルを付けた全体のスケジュールは次のようになります。
「D」は日単位と見なされるバックアップを表します。 「W」は週単位と見なされるバックアップを表します。 「M」は月単位と見なされるバックアップを表します。
GFS スキームに従ってラベルを付けたスケジュール
スケジュール: 平日の午後 8:00
週単位/月単位: 金曜日
Acronis では、統合が不要になるように、ストレージ領域の節約とクリーンアップの最適化に役立つ増分および差分のバックアップを使用します。 バックアップ方法に関しては、週単位のバックアップは差分(Dif)、月単位のバックアップは完全(F)、日単位のバックアップは増分(I)です。 初回のバックアップは常に完全バックアップです。
[週単位/月単位]パラメータにより、全体のスケジュールが日単位、週単位、および月単位のスケジュールに分割されます。
[週単位/月単位]のバックアップで金曜日を選択したとします。 作成されるバックアップ タスクの実際のスケジュールは次のようになります。
GFS スキームに従って Acronis Backup & Recovery 10 により作成されるバックアップ タスク
スケジュール: 平日の午後 8:00
週単位/月単位: 金曜日
バックアップの保持期間: 日単位
この手順では、日単位のバックアップの保持ルールを定義します。 それぞれの日単位のバックアップの後にクリーンアップ タスクが実行され、指定よりも古い日単位のバックアップがすべて削除されます。
バックアップの保持期間: 週単位
この手順では、週単位のバックアップの保持ルールを定義します。 それぞれの週単位のバックアップの後にクリーンアップ タスクが実行され、指定よりも古い週単位のバックアップがすべて削除されます。 週単位のバックアップの保持期間を、日単位のバックアップの保持期間より短くすることはできません。 通常は、数倍長い期間を設定します。
バックアップの保持期間: 月単位
この手順では、月単位のバックアップの保持ルールを定義します。 それぞれの月単位のバックアップの後にクリーンアップ タスクが実行され、指定よりも古い月単位のバックアップがすべて削除されます。 月単位のバックアップの保持期間を、週単位のバックアップの保持期間より短くすることはできません。 通常は、数倍長い期間を設定します。 月単位のバックアップの保持期間を無限に設定することもできます。
作成されるアーカイブ: 理想的
日単位のバックアップを 7 日間、週単位のバックアップを 2 週間、月単位のバックアップを 6 か月保持するように選択したとします。 すべてのバックアップがいっぱいになったときに、スキームの要求に応じてすぐに削除できる場合、バックアップ計画開始後のアーカイブは次のようになります。
左側の列は曜日を示しています。 週の曜日ごとに、通常のバックアップと後続のクリーンアップが行われた後のアーカイブの内容が示されています。
「D」は日単位と見なされるバックアップを表します。 「W」は週単位と見なされるバックアップを表します。 「M」は月単位と見なされるバックアップを表します。
GFS スキームに従って作成された理想的なアーカイブ
スケジュール: 平日の午後 8:00
週単位/月単位: 金曜日
日単位のバックアップの保持: 7 日
週単位のバックアップの保持: 2 週
月単位のバックアップの保持: 6 か月
3 週目から、週単位のバックアップが定期的に削除されます。 6 か月後、月単位のバックアップの削除が始まります。 週単位および月単位のバックアップの図は、尺度が週単位のこの図と同じようになります。
作成されるアーカイブ: 現実
実際には、アーカイブの内容は理想的なスキームによる場合とは多少異なるものになります。
差分および増分のバックアップ方法を使用する場合、あるバックアップに基づいて後続のバックアップが作成されていると、スキームの要求に応じてすぐに削除することができません。 通常の統合は、システム リソースを使用しすぎるため利用できません。 スキームの要求に従って依存関係のあるすべてのバックアップが削除されてチェーン全体が削除されるまで、プログラムが待機する必要があります。
バックアップ計画の最初の 1 か月は、実際には次のようになります。 「F」は完全バックアップを表します。 「Dif」は差分バックアップを表します。 「I」は増分バックアップを表します。
依存関係のために予定の期間より長く存続するバックアップには、ピンク色のラベルが付けられています。 初回の完全バックアップは、そのバックアップに基づく差分バックアップと増分バックアップがすべて削除されるとすぐに削除されます。
GFS スキームに従って Acronis Backup & Recovery 10 により作成されるアーカイブ
スケジュール: 平日の午後 8:00
週単位/月単位: 金曜日
日単位のバックアップの保持: 7 日
週単位のバックアップの保持: 2 週
月単位のバックアップの保持: 6 か月