2026年5月8日(金)  —  Acronis

不変バックアップソリューションとは?

目次
不変バックアップとは?
なぜ不変バックアップが重要なのか?
不変バックアップの仕組み
不変バックアップソリューション
不変バックアップと従来のバックアップの違い
クラウドベースの不変バックアップソリューション
不変バックアップ実装のベストプラクティス
不変バックアップの将来
結論
よくある質問(FAQ)
Acronis Cyber Protect
バックアップとセキュリティをひとつで
その他の利用可能な言語DeutschEspañolFrançaisItaliano

エクゼクティブサマリー

このブログでは、不変バックアップの概要とそのメリットについて詳しく説明します。また不変バックアップを実装するためのベストプラクティスを紹介し、従来のバックアップソリューションとの違いについて説明します。さらに、この技術の革新と成長の可能性を探ります。

このホワイトペーパーは、ITプロフェッショナル、データのバックアップと復元のスペシャリスト、そしてデータ保護対策の強化を検討している企業の方には必読です。これらのソリューションをITインフラに統合し、堅牢で信頼性の高いデータバックアップシステムを構築する方法について解説します。これにより、サイバー脅威がますます増大する現代社会において不可欠な安心感を得ることができます。

はじめに

現代のテクノロジーの進化は、計り知れないほど膨大なデータに支えられており、これらのデータは損失、破損、不正アクセスから保護されなければなりません。従来のクラウドバックアップソリューションはこの点で効果的でしたが、データ損失インシデントは依然として日常的であり、サイバー攻撃はますます巧妙になっていることから、バックアップモデルの転換が必要となっています。不変バックアップは、従来のバックアップの欠点を克服し、従来のデータ保護ニーズにマッチした、改ざん防止、進化し続ける技術を提供します。

不変バックアップとは?

不変バックアップソリューションに保管されたデータは改ざん不可能です。つまり、データは変更、削除、上書きすることができません。不変バックアップでは、データは読み取り専用形式で保管され、書き込み権限を禁止することで、データを変更できないようにします。

不変バックアップは、さまざまなストレージメディアにレプリケートでき、監査やバージョン管理のために複数のデータコピーを保持できます。また、暗号化や多要素認証といった高度なセキュリティメカニズムを活用することで、非常に安全なデータ保護を実現することも可能です。

なぜ不変バックアップが重要なのか?

サイバー攻撃やデータ漏洩はビジネスや個人にとって継続的な脅威となっているため、信頼性の高いバックアップはこれまで以上に重要になっています。以下はその5つの理由です。

データ保護

データ損失は、人為的なミス、ハードウェア障害、ソフトウェアの不具合、不慮の削除など、さまざまな原因によって生じます。しかし、これらに共通しているのは、バックアップされたデータが変更・改ざんされているということです。例えば、ランサムウェアでは、バックアップされたデータが上書きされ、サイバー犯罪者によって人質にされます。不変バックアップは、状況や攻撃者に関係なく、変更、削除、上書きできないバージョンを保存することで、このような事態を防ぎます。これにより、身代金を支払うことなくデータを復元できます。

コンプライアンス

GDPRHIPAAPCI DSSなどの規制では、企業はデータの不変コピーを保持することが義務付けられています。不変バックアップは、組織が規制コンプライアンスを達成し、罰則や罰金のリスクを軽減し、お客様や業界パートナーとの信頼を築くための信頼できる方法を提供します。

データ履歴の保存

データの不変コピーを保持することで、データの経時的な変化を追跡することができるようになります。これは、データの真正性と完全性の証拠が極めて重要となる訴訟において、特に有用となります。不変バックアップは、いつ、誰がデータにアクセスしたか、変更が加えられたかどうかを示す監査証跡を提供することができるためです。

不変バックアップの仕組み

不変バックアップソリューションは、データの読み取り専用コピーを作成し、誰にも変更や上書きができないようにします。これはユーザーはデータにアクセスするために認証と認可を受ける必要がある、暗号化の方式によって実現されます。また、不変データは圧縮形式で保存されるためストレージ容量を削減し、復元時間を短縮できます。

ブロックチェーン技術の非代替性は、不変バックアップソリューションへの応用が拡大しています。これによって、バックアップの作成やバックアップからの復元といったあらゆるイベントを「ブロック」内に保存できるようになります。そのブロックは、適切に定義された一連の連鎖(シーケンシャルな配列)へと、暗号技術を用いて結合されています。  これにより、特に社内のデータ復元担当者にとっては、データの真正性が向上します。

不変バックアップソリューションは、すべてのデータトランザクションを記録し、不正な変更や侵害の発生源を特定するための監査証跡を作成することで、保管管理の連鎖を追跡するソリューションも提供します。これにより、サイバー犯罪者に対するセキュリティレイヤーがさらに強化されます。

不変バックアップソリューション

現在最も広く使われている不変バックアップには5つの種類があります。

WORM (Write Once, Read Many)

WORMバックアップは、消去不可能なデータコピーを作成する不変バックアップソリューションです。データはCDDVD、磁気テープなどのディスクバックアップに一度だけ書き込まれ、その後は読み取り専用になります。WORMは主に、医療、金融、法律、規制に対応するための記録などの機密データの長期アーカイブに使用されます。

継続的データ保護(CDP)

CDPは、継続的かつ一貫性のあるデータのバックアップを行います。いつでもデータの変更を、任意の粒度で復元できることが特徴です。プライマリストレージのデータに加えられた変更は自動的にバックアップストレージにコピーされ、データは常に最新の状態で利用できるようになります。CDPバックアップソリューションは、数秒または数分の間隔でデータをバックアップします。

時間ベースのスナップショット

時間ベースのスナップショットは、デルタアルゴリズムを使用して特定の間隔で取得されます。各スナップショットには、前回のバックアップ以降に発生した変更のみが含まれます。時間ベースのスナップショットは、多くの仮想マシンで共有されるストレージシステムに最適です。スナップショットは頻繁に取得されるため、データのリストアが容易になり、常に最新のスナップショットを利用できます。

バックアップのバージョン

バージョン管理されたバックアップソリューションを使用すると、同じデータの複数のバージョンを作成できます。バックアップはデータの各コピーを保存し、以前のバージョンがいつでも利用可能で復元可能であることを保証します。データのバージョンは、データへの変更の監査証跡を提供し、企業が必要になった場合に、以前のバージョンを比較し、復元できるようにします。バージョン管理されたバックアップソリューションは通常、ファイルが頻繁にアップデートされる財務記録、ソースコード、ソフトウェアプロジェクトなどの重要なビジネスデータに使用されます。

クラウドストレージベースの不変バックアップ

この不変バックアップソリューションは、バックアップを保管するためにクラウド上のリモートサーバーを使用し、どこからでもデータにアクセスできるようにします。また、クラウドバックアップは、データストレージの要件が変化した場合に規模を拡大、縮小できます。ほとんどのクラウドの不変バックアップは、従量課金制で、暗号化や多要素認証などの強固なセキュリティ機能を提供しています。

不変バックアップと従来のバックアップの違い

不変バックアップソリューションと従来型のバックアップソリューションには大きな違いがあります。詳しく見てみましょう。

WORMテクノロジー

不変バックアップソリューションは、データを変更や削除から保護するWORMテクノロジーを実装しています。これにより、バックアップメディアに書き込まれたデータは上書きされず、読み取り専用となるため、永続的で改ざん不可能であることが保証されます。一方、従来のバックアップソリューションでは、上書き可能なメディアを使用するため、偶発的または悪意のある変更や削除の影響を受けやすくなります。

注:従来のバックアップソリューションと比較して、WORMテクノロジーのセットアップとメンテナンスは、より高価で複雑になる可能性があります。

データ保持

不変バックアップは、より高いレベルのデータ保持を提供します。従来のバックアップソリューションでは保持期間が限られていることとは対照的です。これは利点ですが、重要でない不要なデータが長期的に保持されると不利になります。

セキュリティ

WORM技術のおかげで、不変バックアップは従来のツールよりも高いセキュリティを提供します。これは、財務記録や高度な機密情報のような機密データにとって重要な、データの真正性を考慮する上で特に重要です。また、不変バックアップソリューションは、データ侵害をより迅速に検出し、修復を提供します。

コスト

従来のバックアップソリューションと比較して、不変バックアップソリューションは専用のハードウェアとソフトウェアを必要とするため、実装コストが高くなる可能性があります。

柔軟性

バックアップのスケジューリングに関しては、従来のバックアップソリューションの方が柔軟性があります。バックアップの頻度をカスタマイズできるためです。一方、不変バックアップは自動で行われるため、コントロールの幅が非常に狭くなります。

信頼性

不変バックアップは、従来のバックアップよりも信頼性が高く、変更や削除ができないため、データ損失や破損に対してより強力な保護を提供します。

クラウドベースの不変バックアップソリューション

今日のクラウドファーストの世界では、クラウドベースの不変バックアップツールが不可欠です。これらのツールは、信頼性が高く、セキュアで改ざん防止されたバックアップを提供します。クラウドサービスプロバイダーはまた、暗号化やアクセス制御を含む高度なセキュリティ対策を顧客に提供するための専門知識とリソースを持っています。つまり、クラウドにバックアップされたデータは、一般的にオンプレミスよりも保護されていると考えられます。

クラウドベースの不変バックアップソリューションは、ITチームがハードウェアやソフトウェアを購入してインストールする必要がなく、データボリュームの増加に合わせてバックアップ要件をシームレスにスケールでき、管理や監督も容易です。クラウドプロバイダーがバックアップに必要なハードウェア、インフラ、ソフトウェアを管理するため、IT専門家、データバックアップと復元の専門家や、組織はバックアップインフラを管理する必要がありません。

さらに、クラウドベースの不変バックアップツールは、より高いレベルのアクセシビリティを提供します。バックアップはクラウドに保存されるため、どこからでもアクセスできます。これにより、ロケーションに関係なく承認されたユーザーがデータにアクセスできるようになり、分散した従業員の生産性と効率が向上します。

不変バックアップ実装のベストプラクティス

会社や組織に不変バックアップソリューションの実装を検討しているなら、こちらのベストプラクティスを参考にしてください。

バックアップと復元計画を確立する

計画では、データのバックアップと復元処理で従うべき手順を概説する必要があります。また、実行するバックアップの頻度や種類も明記します。バックアップ計画は文書化され、すべての関係者に周知されるべきです。

適切なハードウェアとソフトウェアを選択する

不変バックアップのためのハードウェアとソフトウェアは、信頼性が高く、セキュリティが高く、システムに適合していなければなりません。暗号化、圧縮、リモートバックアップ管理など、必要な機能を決定してください。バックアップ処理の自動化、バックアップの監視、エラー発生時の警告受信が可能なソフトウェアを選択するようにします。

アクセスコントロールの実装

不変バックアップは回復力のあるデータ保護ソリューションですが、承認されたユーザーのみがデータにアクセスできるようにすることも重要です。そのためには、強力なパスワードと多要素認証が必要です。また、すべてのバックアップとリストアの監査ログも必要です。

データを暗号化する

暗号化は、バックアップへのアクセスが適切な資格情報を持つ者のみに制限されるようにする重要なセキュリティ対策です。不変バックアップソリューションを設定する際には、転送中および保存時のデータが暗号化されるようにしてください。AESAdvanced Encryption Standard)のような強力な暗号化アルゴリズムは、データを簡単に解読できないようにするための重要な要素です。さらに、暗号化キーが安全に保管され、承認されたユーザーしかアクセスできないようにする必要があります。

監視の実施

監視は、バックアッププロセスをトラックし、重大な問題になる前に問題を検出するのに役立ちます。監視の実装には、バックアップと復元の操作が完了したとき、失敗したとき、または注意が必要なときに知らせる警告と通知の設定が含まれます。監視には、履歴データを分析して傾向を把握し、今後のバックアップ操作について十分な情報を得た上で決定することも含まれます。

バックアップとリストアの手順をテストする

データのバックアップは処理の一部に過ぎません。もう一つの重要な部分は、災害時にデータを復元することです。バックアップと復元手順を定期的にテストすることは、バックアップが必要なときに復元できることを保証するために不可欠です。これには、部分的なバックアップと完全なバックアップの両方を使用してシステムの完全な復元を実行し、バックアップソリューションが望ましい結果をもたらすかどうかを確認することが含まれます。さらに、データの偶発的な削除、ハードウェア障害、サイバー攻撃など、さまざまなシナリオでバックアップをテストしましょう。

オフサイトバックアップソリューションの実装

ビジネスおよび組織は、物理的な損失からデータを保護するために、オフサイト(サイト外の)バックアップソリューションを実装する必要があります。バックアップされたデータを別の場所に保管することで、プライマリロケーションでの火災や洪水などの自然災害からデータを保護します。オフサイトバックアップソリューションを実装する際には、オフサイトのバックアップインフラがプライマリロケーションと同様のセキュリティと信頼性を備えていることを確認しなければなりません。また、バックアップロケーションにデータの変更を通知するためのコミュニケーション計画を確立し、最新のデータバックアップを維持できるようにします。

スタッフの教育

組織の担当者は、不変バックアップツールの効果的な使い方を知っていなければなりません。トレーニングでは、実行されるバックアップのすべての種類、バックアップの頻度、必要なときにデータのバックアップにアクセスする方法、災害時のデータの復元方法などをカバーする必要があります。スタッフはまた、機密データの取り扱いに関するベストプラクティスと、バックアップを安全に保ち、セキュリティを確保することの重要性を理解しなければなりません。マネーロンダリング防止(AML)コンプライアンスやその他の関連規制要件に関する知識が鍵となります。

不変バックアップの将来

不変のバックアップソリューションは、ますます人気が高まっており、将来的には、その効率性という点で、大きな革新と成長が期待されています。以下は現時点での予想です。

AIと機械学習(ML)の統合

これらのテクノロジーは急速に進歩しており、データバックアップの傾向を分析し、バックアップスケジュールを最適化し、バックアップと復元のスピードを向上させるために使用することができます。AIはまた、データ侵害を検知・抑止し、より高度な脅威の検知と軽減を提供できます。

クラウドソリューションの採用拡大

クラウドベースの不変バックアップソリューションは、インフラを追加することなくデータの増加に対応できるスケーラブルで柔軟なストレージを提供できます。そのため、今後も採用が拡大すると考えられます。また、迅速な災害復旧、容易な拡張性、インターネット接続があればどこからでもバックアップにアクセスできるといった利点も提供します。

コンプライアンスと規制要件の重視

データプライバシーとセキュリティが進化を続け、より主流になるにつれ、GDPRHIPAAPCI DSSなどの地域や国際的な規制に準拠した不変バックアップソリューションに対する需要が高まるでしょう。

高まるデータガバナンスの優先度

データのボリュームと複雑性が増す中、企業はデータガバナンスにより大きな注意を払うようになります。不変のバックアップソリューションは、コンプライアンスおよび法務チームと密接に連携し、データ管理やアクセス制御を改善できなければなりません。テクノロジーの進歩により、バックアップはより検索しやすく整理され、ビジネスはより適切にデータ保護を行えるようになるものと考えられます。

結論

不変バックアップソリューションに早期に投資することで、ビジネスは大きなメリットを享受し、競争に打ち勝つことができます。不変バックアップソリューションの実装によるROIは、その複雑さを上回ります。

Acronis Cyber Protectは、高度なセキュリティ機能、使いやすいインターフェイス、サイバープロテクションとデータのバックアップおよび保護に対する革新的なアプローチにより、不変バックアップソリューションとして機能します。Acronis Cyber Protectの詳細につきましてはこちらをご覧ください:

よくある質問(FAQ)

「不変バックアップ」は「エアギャップバックアップ」と同じですか?

不変のバックアップはバックアップの変更を防止し、エアギャップはバックアップへのアクセスを防止します。最強の設計は、その両方を使用します(例えば、隔離された環境に保存された不変バックアップ)。

不変バックアップは3-2-1ルールに代わるものですか?

不変性は保護レイヤーであり、それ自体が戦略ではありません。複数のコピー、複数のメディア、そして少なくとも1つのオフサイト/隔離されたコピーが必要であることに変わりはありません。

何を不変にすべきか:すべてか、それとも重要なデータだけか?

最も重要なデータ(IDおよびアクセス管理ストア、財務/法務、重要サーバー、Microsoft 365/Google Workspace、主要データベース)から始め、拡張していきます。すべてのデータを永久に不変にすると、コストと保持データ量を激しく増加させます。

実際に不変バックアップで1番の失敗モードは?

「理論上は不変、実際には削除可能」- 例えば、管理者が誤った許可を設定する、保持ロックを短く設定する、または資格情報の共有などによって削除される恐れがあります。厳格なRBACMFA、個別のバックアップ管理者用IDおよびアクセス管理、保持ロック、定期的な復元テストで修正をかける必要があります。

 

Acronis について

2003年にシンガポールで設立されたスイス企業であるアクロニスは、世界15か所にオフィスを置き、60か国以上に従業員を擁しています。Acronis Cyber Platformは150か国に26言語で提供され、21,000社を超えるサービスプロバイダーに採用され、75万社以上の企業を保護しています。