2025年12月23日(火)  —  Lee Pender

アクロニスの Ignition 認定が OT レジリエンスで重要となる理由

Acronis Cyber Protect for OT
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運用技術(OT)環境において、技術的な障害は避けられません。障害対策は必須ですが、最終的に運用を保護するうえで重要なのは迅速なリカバリ機能です。OT システムに障害が発生すると製造が停止し、生産力の低下、納期の遅れ、潜在的な法的問題といったコストが即座に積み重なり始めます。

製造業者、公共事業者、工場経営者は、インシデント発生後、早急にシステムを再稼働させなければなりません。しかし、製造業者は IT システムと OT システムを再度統合してから生産を再開する必要があるため、これは決して容易な作業ではありません。

アクロニスと Ignition の提携により、OT システムのバックアップとリカバリが可能に

製造業者は、生産環境を制御する SCADA、HMI、IIoT の各システムとシームレスに連携するバックアップおよびリカバリソリューションを必要としています。また同時に、信頼性の高いソリューションを求めています。このたび、アクロニスは Inductive Automation® の Ignition Technology Ecosystem Program において、登録テクノロジープロバイダーに認定され、 OT 環境に必要な技術要件を満たしていることが実証されました。

Inductive Automation が提供する Ignition は、製造現場と IT システム間の連携を可能にします。ユーザーは、組織全体にわたって制限なくデータを接続し、産業オートメーションアプリケーションと拡張システムを迅速に開発できるようになります。このプラットフォームは、工場現場の機器と SQL データベースを連携させ、ユーザーが SCADA、MES、IIoT、レポート作成、アラームなどの機能を統合したソフトウェアモジュールを追加できるようにするモジュラアーキテクチャを採用しています。

Ignition による認証を通じて、アクロニスは一般的な IT ベンダーという位置付けから、プラットフォーム認定 OT パートナーへと重要な転換を遂げました。この転換は、特に次の 3 つのグループにとって重要な意味を持ちます。

1. 制御システムインテグレータ

Ignition プロジェクトを設計・展開する制御システムインテグレータは、プロジェクトリスクの低減、タイトなスケジュールの遵守、プロジェクト展開後におけるサポートチケット数の最小化といった絶え間ないプレッシャーに直面しています。Ignition は、製造業、公共事業、石油・ガス、製薬などの産業分野にわたって導入されています。こうした産業分野では、システム障害が発生すると、1 時間当たり数百万ドル相当の損失を招く製造停止につながるおそれがあります。

アクロニスのような認証済みのバックアップおよびリカバリプロバイダーは、統合に伴う不確実性を軽減できます。インテグレータは、各種 OS バージョン、ハードウェア構成、エアギャップネットワークにわたる互換性をテストする代わりに、Inductive Automation のパートナー適合性チェックに合格した実績のあるソリューションを、自信を持って推奨できるようになります。

こちらの認定により、インテグレータは以下が可能になります。

  • レジリエンスにおける推奨ベンダーとしてアクロニスをプロジェクトのスコープや作業範囲記述書に組み込むことで、複数のベンダーを評価する必要がなくなり、エンドカスタマーの調査負担を軽減できます。
  • Ignition アーキテクチャに対するバックアップソリューションのトライアルアンドエラーテストを不要にすることで、プロジェクト期間を短縮できます。
  • Ignition Designer を実行するエンジニアリングワークステーションの保護からゲートウェイ構成のバックアップまで、Ignition ベースの導入に対する個別要件を把握したベンダーと連携することで、サポートチケットを削減できます。

固定料金契約で稼働するインテグレータの場合、上記のメリットは利益率の向上とプロジェクトリスクの低減に直結します。

2. Ignition を組み込む OEM

Ignition の UI やエッジランタイムを産業用機器に組み込む相手先ブランド製造企業(OEM)は「専任の IT スタッフが配置されないことが多々ある顧客のサポート」という別の課題に直面しています。製造・産業環境の場合、リモート管理ツールを使用する IT 専門家でさえもリカバリオペレーションを支援できないエアギャップ構成で稼働していることが多くあります。

HMI ワークステーションや制御用 PC に障害が発生すると、そのコストはハードウェアの交換だけにとどまらず、すぐに別の要素にも連鎖します。この場合、生産が停止し、サポートコールの殺到につながり、保証条項の綿密な調査が必要になります。実績のあるバックアップおよび復元戦略を導入せずに機器を提供する OEM は、長期のダウンタイムによる運用コストを支払い、さらにはブランド力の低下を招くことになります。

アクロニスは、大手産業オートメーションベンダー(ABB、Emerson、Schneider Electric、Rockwell Automation など)と提携しており、現場で実証された導入パターンのサンプルを提示することで OEM がそのパターンを踏襲できるようにしています。Ignition 認定により、幅広い OT 環境(SCADA/MES レイヤとして Ignition を活用する OEM ベンダー各社のハードウェアが使用される環境など)に対するアクロニスのプロテクション能力が実証されています。

OEM は、標準プラットフォームサービスの一部としてアクロニスをホワイトラベル化またはバンドルすることで、以下を実現できます。

ワンクリックリカバリ機能: 工場現場のオペレーターは、IT 部門からの支援がなくても障害システムを迅速に復元できます。

レガシーオペレーティングシステムのサポート: 他のバックアップベンダーがすでに廃止した、旧バージョンの Windows を依然として実行している多くの OT 環境に対応します。

エアギャップ環境に対する互換性: 産業プラントで一般的な隔離環境において、バックアップおよびリカバリオペレーション機能を保証します。

レジリエンスを後付け機能ではなく標準搭載機能として提供することで、OEM は機器の差別化を図り、顧客の総所有コスト(TCO)を削減できるようになります。

3. OT 主導の企業

製造工場、エネルギー施設、製薬オペレーション、輸送システムは、多くの場合、IT のみにフォーカスしたバックアップソリューションでは対応できない運用上の制約に直面しています。これらの環境は、コンピューティング業界において旧式となったプラットフォーム上で実行されていることが多く、アップタイム上の必須要件によりセキュリティのアップデートやメンテナンスが困難になっています。

バックアップソリューションを評価する調達チームにとって、Ignition テクノロジー認定は、統合リスクと運用上の負担が軽減されることを示しています。OT チームは、長期間の概念実証を実施して既存の Ignition 導入ケースとの互換性を検証する必要がなく、技術承認プロセスを迅速化できます。

Ignition 認定は、コンプライアンス要件にも対応します。OT 向け Acronis Cyber Protect プラットフォームを使用すると、ベンダーは NIS2 や ISA/IEC 62443 などの規制要件を満たすことができます。これらの枠組みの下で事業を行う組織は、認定テクノロジープロバイダーと連携することで、監査文書や規制に関する報告書の作成を簡素化できます。

OT 主導の企業にとっての実務上のメリットとして、広範な社内テストに代わり、事前検証済みの互換性に基づき調達判断が迅速化できること、さらに Inductive Automation の広範なプロバイダー検証プロセスを参照することで、OT チームによる技術承認が容易になる点が挙げられます。

複数施設にわたる既存の Ignition 導入との整合性を高めることで、ベンダーの分散を抑制します。このことは、以下のサイバーレジリエンス成熟度に関する特定の主要パフォーマンス指標(KPI)の達成を目標とする OT チームにとって重要になります。

  • 定義されたサイバーレジリエンスのベースラインを満たすサイトの割合。この指標により、多拠点組織は、標準化されたバックアップおよびリカバリの準備状況に基づいて各拠点をベンチマークできます。
  • インシデント後に隔離された OT 資産の復元時間を短縮することで、侵害されたシステムを封じ込め、リカバリ可能と判断された後の生産停止時間を抑えることができます。

OT 向け Acronis Cyber Protect では、業界の法的条項に対応し、産業規制およびサイバー保険の各要件を満たす統合機能により、コンプライアンスが徹底されます。たとえば、アクロニスは IEC 62443-4-1 認定を取得しており、また他の規格(NIS2、NERC-CIP、GxP など)のコンプライアンスにも対応しています。

アクロニスは登録テクノロジープロバイダーです

一般的な IT バックアップベンダーであることと、プラットフォームで検証された OT パートナーであることの違いは、購買者がリスクと価値を評価する方法を根本的に変えます。Ignition は、工場現場の機器、SQL データベース、IIoT デバイスを接続する汎用の産業向けアプリケーションプラットフォームとして機能します。バックアップソリューションが、これらの特定のアーキテクチャ(Ignition ゲートウェイ展開の分散アーキテクチャ、リアルタイムのタグデータベース、Python スクリプトエンジンなど)を考慮していない場合、リカバリの信頼性は低下します。

OT 向け Acronis Cyber Protect は、XP から現在に至るあらゆる OT システム OS をサポートしており、エアギャップ環境におけるシステムの保護や、外部ネットワーク接続を必要としないバックアップおよびリカバリが可能です。

Inductive Automation の Technology Ecosystem Program は、これらの機能が実際の Ignition アーキテクチャに対して検証済みであることを第三者の立場から証明するものです。OT ベンダー選定の複雑さに直面している購買者にとって、この第三者による検証は、デューデリジェンスの負担と調達リスクを軽減します。

この認定がもたらす価値

Ignition Technology Ecosystem Program に参加するには、メンバーが特定の基準を満たし、認定を継続的に維持する必要があります。テクノロジープロバイダーは互換性を示し、検証済みのリソースを提供しなければなりません。

本認定は、アクロニスのバックアップおよびリカバリ機能が Ignition の進化するプラットフォームアーキテクチャに適合していることを継続的に証明するものです。認定パートナーは、Ignition が新しいバージョンやモジュールをリリースする際に、互換性の検証と関連文書を継続的に更新する必要があります。

いまこの認定が求められる背景

Ignition ベースの制御システムを稼働している組織は、レガシー OS のサポート、エアギャップ環境に対する互換性、IT の専門知識を必要としない迅速なリカバリ、日々利用する SCADA/HMI/IIoT アーキテクチャとの検証済み統合機能など、運用上の特定要件を満たすバックアップおよびリカバリソリューションを求めています。

Ignition Technology Ecosystem Program において アクロニスが 登録テクノロジープロバイダーとして認定されたことは、厳格な検証を通じて、これらすべての要件を満たしていることを第三者の立場から裏付けるものです。この認定により、制御システムインテグレータ、OEM、OT 企業はリスクの低減や迅速な導入が可能になり、本番環境において信頼性の高いリカバリを実現できます。

OT 向け Acronis Cyber Protect、および認定バックアップソリューションが運用技術環境をサポートする仕組みについて、ぜひ詳しくご確認ください。

登録商標 Ignition by Inductive Automation® は、Inductive Automation の所有であり、米国特許商標庁に登録されています。

 

Acronis について

Acronis は、2003 年にシンガポールで設立されたスイスの企業で、世界 15ヵ国にオフィスを構え、50ヵ国以上で従業員を雇用しています。Acronis Cyber Protect Cloud は、150の国の26の言語で提供されており、21,000を超えるサービスプロバイダーがこれを使って、750,000 以上の企業を保護しています。