
データのバックアップは非常に重要ですが、いかに厳重に保護されていても、セキュリティインシデントや災害発生の直後にアクセスできなければ、あまり価値がありません。あらゆる組織はデータによって支えられており、データがなければ事業を運営できません。だからこそ、ワンクリックリカバリが非常に重要なのです。
事業継続のためには、データリカバリのスピードが重要です。ほとんどのバックアップソリューションは、データを適切に保護できても迅速にリカバリすることはできません。インシデント発生後、バックアップデータが保存されているのにアクセスできなければ、何の役にも立ちません。ビジネスを再開して稼働させるには、データに素早くアクセスできることが不可欠です。
なぜデータリカバリのスピードが重要なのか?
一般的に、ダウンタイムを回避するために、迅速なデータリカバリが重要になります。業務が停止すれば、企業は深刻な経済的打撃を受け、とりわけ製造業において深刻です。ダウンタイムが許されない組織にとって、システムとデータの迅速なリカバリは欠かせません。
多くの組織が直面しているもう 1 つの深刻な問題が、IT 部門の対応スピードです。場合によっては、IT 部門でさえデータをリカバリできないことがあります。システム停止は、IT の障害につながる可能性があり、IT 担当者が現地に出向いてデータを復元する必要がある場合、問題はさらに悪化します。
データは失われやすく、その代償は高価
調査会社 IDC による 2024 年の調査では、平均的な企業は、毎年 4.2 回ものデータ関連の業務中断に悩まされていることが明らかになりました。回答者のほぼ 4 分の 1 が、1 年間に 10 回以上のインシデントに見舞われたと報告しています。
製造業においては、ひとたびデータが失われると、経済的損失が発生します。ABB の調査によると、69% の企業が月に 1 回は予期せぬダウンタイムを経験しており、ほぼ10%が毎日予期せぬ障害を経験していました。システム停止は大きな経済的負担を伴います。その平均的な被害額は 1 時間あたり 12 万 5,000 ドルとされています。
これらの数値が示すように、データリカバリのスピードが非常に重要であることは明らかです。実際、IDC による調査の回答者の多くが、リカバリソリューションを評価する際に最も重視する機能としてスピードを挙げています。
IDC調査の回答者の約 30%が、リカバリ機能を実装する上での最大の課題の 1 つとして、スタッフ不足を挙げています。そのため、あらゆる業態の企業が、オンサイトの IT スタッフやリモートアクセスに頼ることなく、迅速なリカバリを提供するソリューションを求めています。
特定の環境では、ワンクリックでのデータリカバリが必須
データリカバリを迅速かつ容易に行えるかどうかが、莫大な経済的損失を被るか、手間やコストを抑えてリカバリできるかの分かれ目になります。多くのバックアップおよびリカバリツールは、データを安全に保つという点では優れていますが、インシデント発生後に、データに素早くアクセスできるとは限りません。
以下のような一般的な環境においても、大きな問題が生じる可能性があります。
マルチサイト環境
複数拠点を持つ企業がデータ損失に見舞われた場合、リカバリにマシンごとの処理が必要になり、膨大な手作業が生じる可能性があります。場合によっては、データを復元するために、IT 担当者がマシンから次のマシンへと物理的に移動し続ける必要があります。その結果、リカバリ処理には費用がかかり、作業が長期化します。
リモートワーク環境
ここでも事情は同様です。リモート環境では、従業員は様々な場所で勤務しています。データ損失が発生した際に、容易に迅速なリカバリができなければ、組織に大きな混乱が生じる可能性があります。従業員は自分のデバイスを IT 担当者に送らなければなりません。その IT 担当者は膨大な時間をかけて1台ずつリカバリ作業を行う必要があります。
エアギャップ化された製造環境
製造業にとって、運用技術(OT)システムが長時間停止することほど深刻な事態はありません。多くの場合、製造業者は生産施設をエアギャップ化し、ローカルのコンピュータリソースを外部ネットワークから隔離しています。エアギャップ環境では、IT 担当者がリモート監視・管理(RMM)ツールを使って遠隔地から環境に接続できないため、OT 障害からのリカバリは困難な作業となります。リカバリには、 IT 担当者を現地に派遣する必要がありますが、時間がかり、困難で、危険が伴う場合もあります。システムの障害により作業員の命が危険にさらされる可能性もあります。エアギャップ環境では、非 IT 担当者が自らデータをリカバリする必要があります。しかし、ほとんどのデータリカバリツールは、操作が複雑すぎて、プロでなければ使いこなせません。
インフォグラフィック
アクロニスのワンクリックリカバリで OT の稼働を維持
迅速なリカバリにより莫大な経済的損失や大惨事から組織を救うには
どのような環境においても、データ損失の事例には、共通する 2 つの問題点があります。ワンクリックリカバリにより、組織内の事実上すべての従業員がこれらの問題を解決することができ、時間と費用の莫大な損失を回避できます。
ワンクリックによるデータ復元で以下が可能になります。
1. ダウンタイムを最小限に抑える。ダウンタイムが数分で済むか、数時間以上続くかで、その影響は桁違いになります。損失額はすぐに膨れ上がります。ダウンタイムの 1 時間あたりの平均コストは 125,000 ドルですので、数分の停止での損失はごくわずかです。しかし、ダウンタイムが 3 時間続いただけで、損失額は 375,000 ドルに増加します。1 就業日 8 時間のダウンタイムで、損失は 100 万ドルに達します。エアギャップされた環境では、1 週間のダウンタイムも珍しくありませんが、その場合は 500 万ドルに達します。データリカバリのスピードの違いにより、企業のバランスシートに大きな差が生じかねません。
2. IT 専門家に頼らずデータ復元を可能にする。この能力は、ダウンタイムを最小限に抑えることと密接に関わっています。一般的に、エアギャップ環境下では、IT 担当者は現場にいません。沖合の石油掘削施設など、現場環境によっては物理的に立ち入りが困難なケースが多々あります。たとえ通常の環境であっても、IT 担当者の到着を待ってデータリカバリするにはコストがかかります。また、IT 担当者が直接現場で機器の復元にあたる、あるいは郵送で受け取った端末のデータリカバリ作業に追われるため、サービス対応に支障が生じる可能性があります。ワンクリックリカバリならば、IT の専門知識がなくても、誰でも瞬時にデータを復元できます。この機能により、全社員が迅速に業務を再開できるとともに、IT 部門は他の優先事項に集中できるようになります。節約できる時間と金額は計り知れません。
ワンクリックリカバリでシステムの迅速なバックアップと再稼働を実現
Acronis Cyber Protect は、数あるバックアップおよびリカバリソリューションの中でもユニークな、ワンクリックリカバリを提供します。この機能により、異なるハードウェアへのベアメタルリカバリを含め、システム全体の迅速かつ信頼性の高いリカバリをワンクリックで実現できます。IT 担当者でなくても、1 人のユーザーがワンクリックでデータをリカバリし、組織全体で再び利用できるようにすることが可能です。
たとえば、小売業のすべての店舗に IT 専門家を派遣する代わりに、店舗内の担当者がワンクリックで業務データをリカバリできます。病院の職員がワンクリックで医療機関全体のデータをリカバリできます。あるいは、在宅勤務をしている従業員が、キーを 1 回押すかマウスをクリックするだけで、組織全体のデータをリカバリできます。
ワンクリックリカバリは、特に OT 環境では不可欠です。Acronis Cyber Protect for Operational Technology のワンクリック機能により、現地の非 IT スタッフでも OT システムを迅速かつ簡単に復元できます。製造企業は、熟練した IT 担当者による支援が数時間かかるような遠隔地や、エアギャップ環境であっても、インシデント発生後に生産システムを迅速に立ち上げ、稼働させ、ダウンタイムと関連コストを削減することができます。
データリカバリはスピードこそが重要
あらゆる組織で、インシデントのリスクは減るどころか、むしろ高まっています。サイバー攻撃による被害は甚大化し、件数も増加しています。自然災害やハードウェア障害、ソフトウェアの不具合、人為的ミスなどにより、データはいつでも失われる可能性があります。データのバックアップは欠かせません。IT 担当者を必要とせずに、瞬時に復元できることが極めて重要です。アクロニスのワンクリックリカバリは、ダウンタイムが長引くリスクを抱えることなく、安心して業務を遂行できる環境を組織に提供します。
Acronis について
Acronis は、2003 年にシンガポールで設立されたスイスの企業で、世界 15ヵ国にオフィスを構え、50ヵ国以上で従業員を雇用しています。Acronis Cyber Protect Cloud は、150の国の26の言語で提供されており、21,000を超えるサービスプロバイダーがこれを使って、750,000 以上の企業を保護しています。