アーカイブとバックアップのエクスポート
エクスポート処理によって、指定した場所にアーカイブのコピーまたはアーカイブのそれ自体で完結した部分コピーが作成されます。元のアーカイブはそのまま残されます。
エクスポート処理は次のものに適用できます。
- 単一のアーカイブ - 正確なアーカイブ コピーが作成されます。
- 単一のバックアップ - 1 つの完全バックアップから成るアーカイブが作成されます。増分バックアップまたは差分バックアップのエクスポートは、最も近い完全バックアップまでの、以前のバックアップの統合を使用して実行されます。
- ユーザーが選択したバックアップ(同じアーカイブに属するもの) - 作成されるアーカイブには、指定したバックアップのみが含められます。必要に応じて統合が実行されるため、作成されるアーカイブには、完全バックアップ、増分バックアップ、および差分バックアップが含まれる可能性があります。
- 格納域全体(コマンドライン インターフェイスを使用してエクスポートできるもの) - 詳細については、Acronis Backup & Recovery 10 コマンド ライン リファレンスをご参照ください。
使用例
エクスポートを使用すると、特定のバックアップを増分バックアップと区別することができます。分けることにより、迅速なリカバリ、リムーバブル メディアや取り外し可能なメディアへの書き込みなどの目的に使用できます。
例: 不安定な、または帯域幅の狭いネットワーク接続でリモートの場所にバックアップ データを作成する場合(VPN アクセスの WAN 経由でバックアップするなど)、まず取り外し可能なメディアに初回の完全バックアップを保存します。 その後、リモートの場所にメディアを送信します。 すると、そのバックアップは、メディアからターゲットのストレージにエクスポートされます。 以降の増分バックアップは、通常初回よりもサイズが小さいので、ネットワーク経由で転送できます。
管理対象の格納域を取り外し可能なメディアにエクスポートすると、移動可能な管理対象外の格納域ができます。これは、次のケースに使用できます。
- サイト外に自分の格納域、または最も重要なアーカイブのコピーを保持する
- 別の場所にある支社に、データのみでなく格納域をメディアごと移送する
- ネットワークの問題やストレージ ノードの障害に備えて、そのストレージ ノードにアクセスせずにリカバリする
- ストレージ ノード自体をリカバリする
HDD ベースの格納域からテープ デバイスにエクスポートする方法は、単純なオンデマンド アーカイブと見なされます。
作成されるアーカイブの名前
デフォルトでは、エクスポートされたアーカイブは、元のアーカイブの名前を継承します。同じ場所に同じ名前のアーカイブが複数存在することは推奨されないため、デフォルトのアーカイブ名の使用時は、次の操作が無効になります。
- アーカイブの一部を同じ場所にエクスポートする操作
- 同じ名前のアーカイブが存在する場所にアーカイブまたはアーカイブの一部をエクスポートする操作
- アーカイブまたはアーカイブの一部を同じ場所に 2 回エクスポートする操作
前述のいずれの場合でも、エクスポート先のフォルダまたは格納域には一意のアーカイブ名を指定します。同じアーカイブ名を使用してエクスポートをやり直す必要がある場合は、まず、以前のエクスポート操作で作成されたアーカイブを削除します。
作成されるアーカイブのオプション
エクスポートされたアーカイブは、暗号化とパスワードを含めて、元のアーカイブのオプションを継承します。パスワード保護されたアーカイブをエクスポートするときには、パスワードの入力を求められます。元のアーカイブが暗号化されている場合、そのパスワードを使用して、作成されるアーカイブの暗号化が行われます。
ソースとエクスポート先の場所
コンソールが管理対象コンピュータに接続されているときは、そのコンピュータに配置されているエージェントがアクセスできる任意の場所との間で、アーカイブまたはアーカイブの一部を相互にエクスポートすることができます。これには、個人用格納域、ローカル接続のテープ デバイス、リムーバブル メディアが含まれます。製品バージョンが アドバンスト エディション の場合は、管理対象および管理対象外の集中管理用格納域も含まれます。
コンソールが管理サーバーに接続されているときは、2 つのエクスポート方法を使用できます。
- 管理対象の格納域からのエクスポート。エクスポートは、格納域を管理しているストレージ ノードによって実行されます。エクスポート先には、ネットワーク共有またはストレージ ノードのローカル フォルダを指定できます。
- 管理対象外の集中管理用格納域からのエクスポート。エクスポートは、指定した管理対象コンピュータにインストールされているエージェントによって実行されます。エクスポート先には、管理対象の格納域を含め、エージェントがアクセスできる任意の場所を指定できます。
ヒント: 重複除外された管理対象の格納域へのエクスポートを設定する場合は、エージェントに対する Deduplication アドオンがインストールされているコンピュータを選択します。そのようにしないと、エクスポート タスクは失敗します。
エクスポート タスクでの操作
エクスポート タスクは、設定を完了したすぐ後に開始されます。エクスポート タスクは、その他のタスクと同じ方法で停止または削除することができます。
エクスポート タスクが完了したら、いつでもそのタスクを再実行できます。再実行する前に、以前のタスクの実行によって作成されたアーカイブがエクスポート先の格納域にまだ存在している場合は、それを削除します。そのようにしないと、タスクは失敗します。エクスポート タスクを編集して、エクスポート先アーカイブに別の名前を指定することはできません(これは制限事項です)。
ヒント: 定期的に、アーカイブの削除タスクを実行してからエクスポート タスクを実行することで、ステージング シナリオを手動で実施できます。
エクスポート タスクを作成するさまざまな方法
エクスポート タスクを作成する最も一般的な方法は、[エクスポート]ページを使用することです。このページでは、アクセス許可を持っている任意のバックアップまたはアーカイブをエクスポートできます。
[エクスポート]ページには、[格納域]ビューからアクセスできます。エクスポートするオブジェクト(アーカイブまたはバックアップ)を右クリックし、コンテキスト メニューから[エクスポート]を選択します。ソースとしてオブジェクトがあらかじめ選択された状態で、[エクスポート]ページが開きます。必要な作業は、エクスポート先の選択、およびタスクの名前の指定(オプション)のみです。
アーカイブまたはバックアップをエクスポートする手順は、次のとおりです。
[全般]
[タスク名]
(オプション)タスクの一意の名前を入力します。わかりやすい名前にすると、容易に他のタスクと区別することができます。
[タスクのログイン情報]
(オプション)エクスポート タスクは、タスクを作成したユーザーの代わりに実行されます。タスクのログイン情報は、必要に応じて変更することができます。このオプションにアクセスするには、[詳細ビュー]チェックボックスをオンにします。
[エクスポートの対象]
[エクスポート]
エクスポートするオブジェクトを選択します。
[アーカイブ] - この場合、アーカイブのみ指定する必要があります。
[バックアップ] - 最初にアーカイブを指定し、次に、このアーカイブから必要なバックアップを選択します。
[アクセス ログイン情報]
(オプション)タスク アカウントがソースに対する十分なアクセス権限を持っていない場合は、ソースにアクセスするためのログイン情報を指定します。このオプションにアクセスするには、[詳細ビュー]チェックボックスをオンにします。
[エクスポート先]
[アーカイブ]
新しいアーカイブを作成する場所のパスを入力します。
新しいアーカイブにわかりやすい名前とコメントを指定します。
[アクセス ログイン情報]
(オプション)タスクのログイン情報が、エクスポート先に対する十分なアクセス権限を持っていない場合は、エクスポート先のログイン情報を指定します。このオプションにアクセスするには、[詳細ビュー]チェックボックスをオンにします。
すべての必要な処理を実行したら、[OK]をクリックして、エクスポート タスクを開始します。