2017年もまた、使いやすいバックアップ、AIを活用したランサムウェア対策、ブロックチェーン技術を応用したデータ認証を単一ソリューションに組み込み、包括的なデータ保護ソリューションを提供して参りました。 今回は、世界中で起きた出来事も含め、2017年を振り返ってみたいと思います。 ランサムウェア対策 2017年は、ランサムウェア関連のニュース が多く報じられました。2016年と同様に2017年もまたランサムウェアの攻撃は、法人だけではなく個人も対象として多くの被害をもたらしました。ランサムウェアの攻撃力が高まることを予想していた中で、サイバー犯罪者が世界中の無数のコンピュータを簡単かつ急速に感染せしめたことは衝撃的でした。 WannaCryの登場により、ランサムウェアは人々の知るところとなり、基幹インフラや無数のデバイスを攻撃しています。WannaCryは、最近発見されたファイル共有プロトコルSMB(サーバー・メッセージ・ブロック)上の脆弱性を悪用し、ネットワークでの感染を拡大し、瞬く間に世界中に破壊に至る道を切り開いています。その攻撃が始まったのは金曜日でした。翌土曜日には、数千もの銀行ATM、電子掲示板、サーバールームのモニター上で、身代金を要求するWannaCryの赤い画面が映し出されていました。最終的には30万台以上のコンピュータが、クリーンアップ、再インストール、バックアップリカバリーの実施を余儀なくされたのです。 ランサムウェア対策のAcronis Active Protection機能を搭載したアクロニスのバックアップソフトウェアを有効化していたコンピュータには害が及びませんでした。アクロニスは、ランサムウェア対策としての世界初のアクティブ保護技術を2017年1月(日本は2月の発表)にはリリースしました。この技術により、数千台規模のデバイスが自動的にランサムウェア攻撃による被害を免れています。Acronis Active Protection機能の効果が実証されたため、当社のすべてのデータ保護製品にAcronis Active Protection機能を搭載いたしました。 WannaCryから1か月後、世界は別のランサムウェアの波に襲われました。NotPetyaは、WannaCry と似たような拡散手法を用い、また、マシンの消費メモリからネットワーククレデンシャルを引き出す能力を有していたため、容易にネットワーク内を移動し他のマシンを感染させることができたのです。NotPetyaは多くの大規模団体を機能不全に陥れ、被害総額は数百万ドルにのぼり、多くの団体がITサポートを受けられない状態が続きました。そうした団体はコミュニケーションの手段としてモバイルメッセンジャーアプリに頼るほかありませんでした。 しかし、NotPetyaの目的は身代金ではないということが判明しました。それまでのランサムウェアの類には、身代金支払い後にデータを回復する機能が備わっていましたが、NotPetyaは「ワイパー」として設計され、その唯一の目的は「データの破壊」でした。そのためバックアップを用いる以外、データを回復する術はありませんでした。 この2つのランサムウェア攻撃は、世界中でトップニュースとして取り上げられたため、2017年末までには「ランサムウェアは、国民のほとんどが知ることになる」との予測されていました。 しかし、8月にアクロニスが実施した、世界データ保護調査によって明らかになったのは、WannaCry やNotPetyaが世界中で大々的に報じられたにもかかわらず、ほとんどの人がいまだにランサムウェアについて聞いたことがない、という事実でした。その後、10月に発生したBad Rabbitと呼ばれるランサムウェア攻撃は、一般の人々がランサムウェア対策を講じていなかったという事実を確認したにすぎませんでした。 IT管理者が最新版へのアップデート対応に奔走する中、Bad Rabbitは基本に立ち返り、複数の人気ニュースサイトを感染させ、コンテンツを見るためにソフトウェアのダウンロードをするようユーザーに促しました。言うまでもなく、こうしてダウンロードされたソフトウェアにはランサムウェアが仕込まれていたため、多くの人々がそうとは知らずに自身のコンピュータを感染させてしまい、その結果、新たな攻撃の波を作り出すことになってしまいました。 2017年にもランサムウェアは流行するというアクロニスの予測は正しかった一方で、大々的な報道をもってしても、一般の人々にランサムウェアが周知されるまでには至らなかったという事実も明らかになりました。ランサムウェアの攻撃が続き、その高度化が進む中で、アクロニスは人々を啓蒙する以外の方策を講じる必要があります。 アクロニスは継続的にAcronis Active Protectionの強化に取り組み、この機械学習(ML)と人工知能(AI)によるソリューションを提供し続けて参ります。そうすることで、たとえ ユーザーがあやまってランサムウェアの被害にあったとしても、それらの技術によって500万人以上のユーザー様と50万人のビジネスユーザー様のシステムを保護することができます。 人工知能(AI) データ保護技術の向上とデータ管理作業の簡素化を図る手段として、機械学習(ML)や人工知能(AI)を検討し始めた1年前、2017年にはAIを活用したテクノロジーの機運が高まるだろうと指摘し ていましたが、AI駆動型ソリューションがこれほどの規模とスピードであらゆる産業に浸透するなどとは予想していませんでした。1年前の凪の状態から、今ではデータを扱うすべての組織の一部になるまでに拡大しています。 アクロニスは、胸躍る時代の一歩手前に立っています。このAIフィーバーが産業を席巻する中、アクロニスはAIの活用をお客様のデータをより安全に保護する手段として重視しつつ、このAIの善悪論争 の行方を見守りたいと思います。 ブロックチェーン技術 ブロックチェーン技術については、ビットコインとその過熱した成長なしに語れませんが、その基礎となる分散型台帳技術であるブロックチェーンの効果や信頼性は、十分に証明されまた強化されたことは否定できません。 アクロニスの予測通り、今年は実際のプロジェクトが市場に登場し始めました。オーストラリア・コモンウェルス銀行や米銀大手のウェルズ・ファーゴは、ブロックチェーン技術を利用した初の銀行間取引を行ったと発表しました。また、オーストラリア証券取引所(ASX)は、ブロックチェーン技術を清算・決算処理に取り入れた最初の証券取引所となりました。 アクロニスは、この分野でも大きな成果を挙げました。革新的なブロックチェーン技術であるAcronis NotaryとAcronis ASignを発表して以来、アクロニスのデータ保護製品ラインに欠かせない機能となっています。これまでに、アクロニスは50万件以上の公証案件を処理し、お客様データの非改竄性を証明し、将来的にお客様自身でデータの完全性を検証できる能力を与えています。 最後に、どのようなブロックチェーン技術に関する議論もイニシャル・コイン・オファリング(ICO)が与える影響に触れずに済ませることはできません。2017年にICOは230回以上実施されましたが、ブロックチェーン関連では、ICOで得られた資金は、従来のベンチャー投資家から調達された金額をはるかに上回りました。一方で、ICOの詐欺行為が大々的に報道されことで、関連規制の欠如に加え、訓練や基本的な公教育の必要性も明らかになりました。 ハイブリッド・クラウド・アーキテクチャ 今年、アクロニスは、お客様やサービスプロバイダーがハイブリッドIT環境の変化に対応できるよう、自社の製品ライン全体を共通のハイブリッドクラウドプラットフォームに移行しました。 この移行には十分な根拠があります。クラウド型のサービスは一定の業務活動の合理化に寄与しますが、異なる環境の管理はより複雑になります。現在、オンプレミスとクラウドという2つの異なる環境を、同期を取りながら管理している企業も多く存在します。 昨年アクロニスが言及したクラウドへの一括移行については、クラウド型サービスの可用性と拡張性、その手頃な価格を考えればクラウドへの移行は自然な流れであり、今日の多くのビジネスにとって、必要不可欠なものにもなっています。クラウド型のファイル同期共有ソリューションは情報共有のデフォルトとなりました。クラウド型ストレージは、企業や消費者によってアーカイブに使用されています。また、デスクトップアプリケーションが利用できない時に、クラウド型コンピューティングが助けとなることも珍しくありません。 しかし、多くの企業はクラウド型ソリューションを採用した後に、2つの異なる環境に極めて重要でセキュアな状態を保つ必要性を認識します。インフラの規模にかかわらず、ハイブリッドITの管理は注意が必要になります。保護するデータ量が多さに加え、保護するためのリソースが不足している等の場合はさらなる注意が必要になります。そこに着目したのがアクロニスです。 アクロニスのハイブリッド・クラウド・アーキテクチャがユニークと言われる所以は、オンプレミスとクラウドを区別しない点にあります。アクロニスのハイブリッド・クラウド・アーキテクチャを基盤とするデータ保護ソリューションは、どんな作業負荷や環境も同じように扱います。オンプレミスのデータをクラウドで復元するだけではなく、その逆も可能です。 実際Acronis Backup 12.5 のような製品は、異なる環境間の移行ツールとして使用することができます。 ハイブリッド・クラウド・アーキテクチャでは、保護データの保管場所についてユーザーは自由に管理することができます。これは、データ権限に関する厳しい規制のある地域では欠かせません。データの管理者は常にお客様自身であるとアクロニスは考えているからです。 新たに明らかになったことは、堅牢なハイブリッドIT管理ツールに対するニーズでした。データ保護の観点では、アクロニスは時代に先行しており、アクロニスのパートナーやサービスプロバイダーは、この分野において市場をリードしています。アクロニスは、ソフトウェアの定期的なアップデートや専門的なサービスでパートナーやサービスプロバイダーを全力で支援しています。 GDPR(EU一般データ保護規則) 欧州の企業だけでなく、欧州の顧客と取引のあるグローバルカンパニーにとって、GDPRは、その重要性や広範囲にわたる可能性があります。 昨年、アクロニスがGDPRについてはわずかに触れるに留めたのは、新たな規制に関して、質問への回答がない、あるいは不透明な部分があったためです。今日、その切迫感とGDPR違反に対する高額な罰金が現実的な問題となる中、クリアすべき課題が明確になりました。そしてその対応は急務となります。 データ保護、災害回復、ストレージ業界をけん引するベンダーとして、アクロニスは、エンドユーザー、企業、サービスプロバイダーの可能性についてユニークな視点を持っています。アクロニスは、リソースの記事、ウェビナー、トレーニングを通して、アクロニスのソリューションがどのように企業のGDPR遵守を支援することができるか、またそれと同時に、欧州市場を扱うサービスプロバイダーに対し新たな収益機会をどのように生み出すかを示していきます。 F1 チーム/スクーデリア・トロ・ロッソ アクロニスは、F1スポーツレーシングパートナーであるスクーデリア・トロ・ロッソと、アクロニスのパートナー向けだけでなく、ITやスポーツメディア向けの数々のイベントを通じて活動して参りまし た。 今年のハイライトは、スクーデリア・トロ・ロッソがリモートファイルの共有にAcronis Access Advancedを導入したことです。 Acronis Access Advancedによって、遠く離れた場所にいるエンジニアやサードパーティーの契約者らと、セキュリティレベルを下げることなく、機微情報の共有を自動化することができるようになりました。スクーデリア・トロ・ロッソ側からも、Acronis True Image 2018 やAcronis Backup 12.5といったアクロニスの主力製品の販売において支援いただいています。 今年の初め、新STR12に対する期待を胸に、アクロニスはレーストラックでスクーデリア・トロ・ロッソのサポートに万全の体制で臨んでいました。その後、スクーデリア・トロ・ロッソがシーズン後半にドライバーを変更し、顔ぶれの一新と来年から新しいエンジンを採用するという契約でその年を締めくくるという、いくつかの予期せぬサプライズがシーズン中に起こりました。 スクーデリア・トロ・ロッソがシーズン中に収集したテレメトリーデータを使って現在新しいレーシングカーを調整、デザインしているように、アクロニスもお客様からのフィードバックを活用して新製品を開発しています。データ保護の諸課題は劇的に変化してきているため、今後に向けた新たなアプローチが求められています。スクーデリア・トロ・ロッソと同様に、アクロニスにとっても最も大事なことはイノベーションです。 アクロニスは、使いやすいバックアップ、AI を活用したランサムウェア対策、ブロックチェーン技術を応用したデータ認証を単一ソリューションに組み込み、包括的なデータ保護を提供します。GDPR対応に取り組む大企業、ファイルを保護するホームオフィス、そしてデジタルメモリを保護したいファミリーなど、アクロニスはすべてのデータの安全を担保する革新的ソリューションを今後も提供し続けて参ります。
アクロニスについて
アクロニスは2003年にシンガポールで設立されたスイス企業です。アクロニスは、世界15か所のオフィスと50カ国以上で拠点を擁しており、Acronis Cyber Protectソリューションは150カ国に26言語で提供され、2万社を超えるサービスプロバイダーで利用されており75万社を超える企業を保護しています。