誇大広告に惑わされない: 人工知能がビジネスに対して本当にできることは何か?

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人工知能はここ数年で、真に最先端を行くビジネスにとっての1つの差別化要因となりました。そのことに議論の余地はありません。競争力を保ちたいビジネスはAIを活用しています。

ところが、ガートナー社による2018年の調査によると、機械学習プロジェクトの実に85%が、本番移行前の段階で失敗に終わっており、残念ながら、現在もその傾向が続いています。では、AIには広告で言われているような価値はないのでしょうか。とんでもありません。

AIプロジェクト失敗の真の原因は、まとまったAI戦略がなかった、AIをビジネスユースケースに上手く適用できなかった、あるいは組織的な連携ができていなかったことです。AIがこれまで、ビジネスや社会全体の現実問題を解決する高い潜在能力を示してきたと同時に、多額の費用削減や収益増加の道を開いてきたことは間違いありません。企業が誇大広告に惑わされず、AIを1つのエンジニアリング分野として正しく扱った場合に、その道が開かれます。    

このレビュー記事では、AIがビジネスに対して本当にできることについて理解するために必要となる基礎知識を提供します。具体的には、人工知能についての理解しやすい概要を説明し、関連性の高い専門用語、手法、良い実用例と悪い実用例を確認していきます。

AI関連の専門用語

人工知能、機械学習、ディープラーニング、マシンインテリジェンス。これらはよく、自動化されたスマートアプリケーションを指す際に区別せず使われていますが、それぞれの意味はまったく異なります。その違いを理解することが、AIの導入成功に向けた最初のステップです。

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人工知能(Artificial Intelligence: AI)は、人間のような機械知能を生み出すことを目指した学問分野です。さまざまな数学的、論理的手法を利用して、人間のようなスマートな振る舞いを実現しています。

機械学習(Machine Learning: ML)は、AIに含まれる分野であり、数学的なデータモデルを利用してコンピュータシステムに予測能力をもたらすものです。これらの数学的モデルがニューラルネットワークの形を成したものがディープラーニングです。

さらに、複数の入力と複数のMLモデルを利用して複雑なシステムを構築する場合に、さらに自動化と優先順位付けのプロセスを導入したものが、「マシンインテリジェンス」と呼ばれる今成長中の学問分野です。

このようにAIには多様な実現方法がありますが、このことも、さまざまな専門性レベルを持つ人間の知能を模していると言えそうです。AIシステムが学習したタスクの数に応じて、さらに以下の並行的な3つのグループにAIを分類できます。

  • 弱いAI(特化型AI): 機械は1つのタスクだけをインテリジェントに実行できます。
  • 汎用型AI: 機械は2~3個のタスクをインテリジェントに実行できますが、認知力のある主体ではありません。
  • 強いAI(超AI): 機械は継続的に学習して新しいタスクを自己定義でき、同時にある種の自己認識感を示します。

特化型AIは、AIの実用例で達成されています。スモールデータやビッグデータを基に、高度なML技法を利用することによって、機械はさまざまな単一ドメイン(リスクインテリジェンスからパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスまで)において、高いレベルの専門知識を学習できることを証明してきました。また、人間の能力をたびたび上回っています。

その上、機械学習は、汎用型AIおよび強いAIにステップアップできる可能性も秘めています。機械学習は、学習だけでなく問題解決や優先順位付けも必要となるような複雑な問題の解決に重点を置いているためです。

AIの裏にある手法

MLの実践者によく引用される有名な言葉があります。「Garbage in, Garbage out(ゴミを入れるとゴミが出てくる)」というものです。

AIの裏にある手法を見る前に、まず、AIアプリケーションはデータによって駆動されることを理解することが大切です。AIモデルから役に立つ出力を引き出すためには、トレーニングの際にAIモデルへの入力として正しいデータを渡す必要があります。

データはその形式に応じて、以下の3つのカテゴリに分類できます。

  • 構造化データ。表形式のデータであり、事前定義されたスキーマ内で、行と列によって情報が構造化されています。このデータはデータベースに格納され、検索と整理が最も簡単です。
  • 非構造化データ。表への格納が不可能なデータであり、ドキュメント、メディア(音声、画像、動画)などが該当します。このデータは、データレイク、NoSQLデータベース、BLOB型ストレージに格納されます。
  • 半構造化データ。何らかの一貫した特性があるけれども厳密な構造は持たないデータであり、ログ、XMLなどのマークアップ言語、電子メールなどが該当します。

企業のデータの80%以上は非構造化データです。このことからも、データエンジニアリングはMLチームの必須スキルであるとよく言われています。

データ前処理と特徴量エンジニアリングによって、あらゆる形式のデータソースを、MLモデルのトレーニングに使える表現に作り変えることができます。以下、AIおよびそれに含まれる主な分野の実用例として最も一般的なモデリング方法を示し、最後に最適な形で採用されていない例も紹介したいと思います。

●  AIのためのモデリング    

純粋なAIのためのモデリングとしては、以下の2つの方法が一般的です。 

○  経路探索(Pathfinding)。2つ以上の点の間で最適な経路を割り出すことを目指します。その実現方法としては、重み付きグラフの最短経路を探索するためのダイクストラ法アルゴリズムのバリエーションが使われています。

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これらのモデルはGPSのほか、配送サービスや鉄道網の最適化のために利用できます。

○    記号論理学。事実と規則を論理的表明として定義することにより、人間の知識を宣言的な形式で表します。

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専門家の知識を入手できること、およびそれをコード化できることが必要になります。チェスなどのゲームや、法律分野、医療分野における特定の専門家システムを除き、あまり実用化されていません。

専門家の知識やスモールデータが必要となる用途は、純粋なAIでの解決が適している場合が多いです。データが入手できる場合は、純粋なAIの手法が実現可能であるのに(チャットボット、ゲーミングなど)、MLの手法を利用するのはお勧めしません。

●  機械学習のためのモデリング

実際の採用例のほとんどで機械学習が利用されています。MLの手法は以下のカテゴリに分類できます。

○  教師あり学習(Supervised Learning)。モデルで学習しようとしている出力(「ラベル」)が決まっているケースです。

このモデルでは、分類タスク(ラベルが「猫/犬」、「解約/未解約」などの具体的なカテゴリとなるもの)、または回帰タスク(モデルが販売収益や顧客生涯価値などの数値を予測するために学習するもの)を実行できます。

○   半教師あり学習(Semi-supervised Learning)。ごく一部のデータはラベル付きで、残りのデータはラベルなしのケースです

この学習シナリオは、ディープラーニングで、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks)などのモデルが、ラベル付きデータから学習して、ラベルなしのデータセットにまで一般化できるほど十分に強力な場合に最もよく利用されます。代表的な採用例はCTスキャンやMRIなどの医用画像。これらはデータのラベル付けに多くの時間とコストがかかり、しかもそのタスクは専門家しかできません。

○   強化学習(Reinforcement Learning)。AIエージェントが学習するための環境が構築されます。

エージェントはタスクを試行して報酬を最適化するシミュレーションを繰り返し実行することによって、そのタスクを達成するための最適な手段を見つけようとします。代表的な採用例は自動運転車、ゲーミング、産業オートメーションです。

構造化データに対する特化型AIの採用例(顧客の解約、製品レコメンデーション、電子メールマーケティングなど)の大半で、純粋なMLの手法による解決が適しています。複数の入力とモデルが必要になる複雑なシステムの場合には、機械知能ソリューションを調査することをお勧めします。

また、MLが常に解決策になるとは限らないことにも注意してください。単純なヒューリスティックエンジンやルールベースのエンジンでも、MLの採用時と同じくらい良好に動作することもあります。たとえば、データの次元が少ない場合や、データの品質が良くない場合、あるいはタスクの複雑度が低い場合はそうなります。しかも、エンジニアリングの要件が最小限になるというメリットもあるのです。

●    ディープラーニングのためのモデリング

ディープラーニング(Deep Learning: DL)は大規模なニューラルネットワークです。ニューラルネットワークは、データと同じ次元の入力レイヤーと、ラベルと同じ次元の出力レイヤー、さらにその入力データを出力ラベルにマッピングする方法を学習するパラメータ付きの数学的変換を実行するための1つ以上のレイヤーで構成されます。

ニューラルネットワークは、出力を予測する方法、データを埋め込む方法、または新しいデータを生成する方法について学習できます。

動画からの姿勢推定、ネットワークデータからのアノマリ検知など、非構造化データを基にしたほとんどの(すべてではありませんが)採用例でDLが利用されています。ただし、ビッグデータが必要ない用途では、DLが最も良い解決策にならないこともよくあります。DLは複雑で、簡単には説明できず、処理の負荷が高いからです。

●   機械知能のためのモデリング 

機械知能(Machine Intelligence: MI)には既定の手法はありません。ある入力の組み合わせを基に最適な結果を出すことのできる、逐次的あるいは並列的なモデルおよび目標の集合体であると表現できます。この手法は通常、人間の技能でさえも十分とは言えないようなシステムに焦点を当てています。そのため、その複雑性を考慮すると、臨機応変にやるよりも、専門のサードパーティソリューションを検討することをお勧めします。

MIの良い採用例として、適応型学習(それぞれの学習者の技能に合わせて教育をカスタマイズするもの)や、サプライチェーン管理が挙げられます。

影響度と成熟度の面で最も高度な用途はリスクインテリジェンス(Risk Intelligence)です。これは、職場での不確実な状況を特定するための組織の情報収集能力を指しています(不正検出、フィッシングメールやスパム、ネットワーク保護など)。

MIソリューションは、プライバシーが遵守され、合意に基づいた、自動化された意思決定プロセスを備える、信頼できるシステムを提供します。これにより企業は、ある事態の緊急度を判断するための組み込みの重大度レベルを使って早期に対応し、スマートな対応計画を実施することができます。

ビジネスはAIで何を実現できるか

AIの目指すところは、コンピュータや機械に人間の知能を持たせることです。しかし、その目的は人間を置き換えることではなく、日常的なタスクを自動化して人間がより高度な仕事を引き受けられるような補助的なツールを提供することにあります。

AIモデルの予測や決定は、真実としてではなく、検証した上で行動に移すためのスマートな提案事項として受け取る必要があります。こういったシステムのエンドツーエンドの設計と自動化が、最も高い価値を高い頻度でもたらします。

特化型AIの領域では、ほとんどのビジネスニーズが機械学習によって解決されてきており(生成物同定、レコメンドシステム、不正検出など)、AIの取り組みが成功するかどうかは、主に戦略と意思決定に関係しています。

一方、ビッグデータやリアルタイム要件が伴う複雑な用途の場合に、AIは、人間の技能を上回る数量、速度、種類、精度、価値をもたらすことができます。そのような場合に、AIは最も大きな影響力を発揮します。適切なAIソリューションを用意し、適切な戦略を策定することで、ビジネスはリアクティブではなくプロアクティブな活動に注力して、AIの裏に潜む真の実力に触れることができます。

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