最近では、外出先でも効率よく仕事がこなせるよう、スマートフォンをはじめ、タブレット、薄型PCなど、多くの企業がモバイル導入をしています。実際に社員は外からメールや添付ファイル、スケジュールなどの確認ができるようになり、効率よくモバイルを活用できています。一方で、最近ではクラウドストレージの普及により、社内サーバからデータを個人アカウントのクラウドストレージにアップロードし、社外で使用するというリスクがあります。これは情報セキュリティ上避けたい事態であり、IT部門は社員の自由なデバイス/クラウドの使用に起因する情報漏えい対策にかなりの神経を注ぐことになっています。社員側からすれば、出先でも仕事ができることがベストであり、そのためには「普段使っているファイルサーバに自分が持っているモバイルデバイスからアクセス」でき、かつ「社内でPCを使うように」どこでも必要なファイルにアクセスし、仕事ができるのが理想です。
日本のモバイルファイル共有の現状
モバイルを活用する際に企業としてクラウドストレージを導入するという選択肢があります。しかしながら、個人ユーザーが自分の部屋を持ち、そこに人を招待するスタイルのファイル共有が主流の欧米諸国とは違い、日本でのファイル共有は1つのフォルダを目指して複数ユーザーがアクセスするというものです。したがって、クラウドストレージはファイル転送の延長となってしまい有効に活用でないという事態に陥りがちです。また、セキュリティ/コンプライアンスの観点からも、クラウドストレージの利用は限定的となっているのが実情です。
一方既存の社内ファイルサーバを利用したソリューションを導入しようとした際、使い勝手やパフォーマンスの面でどうしてもクラウドストレージサービスに劣るため、ユーザー側の積極的な活用が進まないという現実もあります。
また、企業内ではユーザー部門は積極的な導入を希望する一方、IT部門側の管理の観点でみると、セキュリティ、管理・運用負荷の面からどうしても導入に消極的になりがちです。
クラウドストレージ活用への障壁
モバイル対応として個人がクラウドストレージを活用する一方で、企業としてクラウドを使用することを問題視する会社も多くあります。まず、第三者に企業のデータを預ける違和感がぬぐえないという点が第一に挙げられます。特に日本企業の場合、会社の重要なデータを社外に置くということに対する不安感などから、すべてをクラウドに置くというレベルまでには達していないのが現状です。また、クラウドストレージ自体のバージョンアップやメンテナンスなど、企業による制御ができないということも理由として挙げられるでしょう。
次に、クラウドを使用するとなると、通常使用している社内サーバと別のファイルサーバを持つため、IT部門の管理負荷が増え、非常にリスクが高くなります。単純に考えても、サーバの数が増えるだけで管理リスクは高くなるうえ、リソースも必要です。
最後に、クラウドを使用した場合、認証とアクセス権限の設定の問題が挙げられます。各ユーザーのファイルへのアクセス権限をActive Directoryで連携しようとした際、別のソリューションが必要であったり、ADをファイルアクセス権限の設定に利用できなかったりすることも、クラウドストレージ導入への大きな障壁として挙げられます。
企業が理想とするモバイルファイル共有のカタチ
それでは理想的なモバイルファイル共有とはどのようなものでしょう?アクロニスが100社以上のお客様にヒヤリングをした結果、主に以下のような内容が挙げられました。
・いつもの社内ファイルサーバとActive Directoryによる認証とファイル権限が使える
・オンプレミスの環境で管理、制御できる
・クラウドストレージのような機能を備え、モバイルデバイスだけでなく、PC含めマルチデバイスで利用できる
・セキュリティ機能が充実していて、部門やユーザーによって操作できる内容を細かく制御することができる
・監査ログ機能により、ユーザーがいつファイルを移動したか確認できる。
では、上に述べられている事が実現されることにより、ユーザー側、管理者側にどのようなメリットが発生するのでしょうか。次回はAcronis Accessにできることを、いくつかのユースケースを交えてご紹介いたします。
アクロニスについて
アクロニスは2003年にシンガポールで設立されたスイス企業です。アクロニスは、世界15か所のオフィスと50カ国以上で拠点を擁しており、Acronis Cyber Protectソリューションは150カ国に26言語で提供され、2万社を超えるサービスプロバイダーで利用されており75万社を超える企業を保護しています。