Acronis Backup Cloudは容量拡張が容易で、分かりやすい画面を提供。IT業務に慣れていない人でも、簡単にシステムを復元することができます。
事業の概要
株式会社ヤッホーブルーイング(以下、ヤッホーブルーイング)は1997年に創業された長野県軽井沢町に本社、佐久市に醸造所を置くクラフトビールメーカーです。クラフトビールは1994年の酒税法改正以降に設立された小規模な醸造所が作るビールのことで、これまでにない多様性と、個性的な味わいとブランドを備えています。ヤッホーブルーイングは全国に400社近くあるクラフトビールメーカーの中でトップのシェアを持ち、「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、新たなビール文化を創出することで、ビールファンに幸せと届けようと事業を展開。「よなよなエール」や「水曜日のネコ」などのクラフトビールは、公式通販サイト「よなよなの里」や全国のコンビニ・スーパーで販売している他、都内8店舗の公式ビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS」で提供しています。
ビジネス上の課題
ヤッホーブルーイングでは受注・出荷・在庫管理と酒税の帳票作成を行う基幹系システムとGoogleの「G Suite」を中心とした情報系、インターネット通販システム、樽管理や顧客管理を行うシステムなどを多数運用しています。「私が数年前に入社した時には、システムは各業務ユニットが自業務の最適化を目指して導入推進をしていました。事業が成長する中で柔軟・迅速にシステムの入れ替えや連携ができるよう、業務機能単位で個別にシステム化を推進し、整備をしてきました。最近ではマーケティング施策をさらに積極的に推進していこうと、多数ある顧客とのタッチポイントを集約管理する顧客管理システムを導入、運用を始めています。またG Suiteの導入を加速させる中で、将来的には基幹系もクラウドサービスにしていく方が世の中の変化に対応していけるのではないかと構想しています」とシステム管制塔(情報システムユニット)ユニットディレクター 木村 壮氏は語ります。
基幹系システムはサーバー1台、クライアントPC25台ほどからなるクライアントサーバーシステムで、2014年の運用開始以来、醸造所がある佐久事業所に設置され、バックアップ用のNASも隣に置かれていました。ところが、2年ほど前、BCP対策の観点からデータセンターにサーバーを移設し、ネットワーク越しにNASへバックアップを取るようになって以降、バックアップの失敗が頻発するようになったのです。「当時はバックアップの状態が不安定になっており、ちゃんとバックアップが取れているのか確信が持てない状況でした。仮にバックアップが取れていても、万一の時にシステムを復元できるのか分からないという不安を感じるようになっていました。また担当者ひとりしかバックアックの仕組みを知らないという今までのやり方では担当者が変わったら、復元も困難です。そこで分かりやすく、簡易な形でシステムが復元できるようにすると共に、BCP対策も意識し、クラウドにバックアップを取ることができるようにしたいと考えました」(木村氏)。
ソリューション
ヤッホーブルーイングでは、2018年の5月頃から情報収集を始め、バックアップシステムの検討に着手しました。その際、重視したのがコストとバックアップ機能とのバランスでした。「システムは動いているのが当たり前という感覚があるので、バックアップやBCP対策のためのコストは予算化しにくい面があります。そこで、コストをできるだけ抑えた上で、バックアップ機能が充実していることを基準にシステムを選びました」(木村氏)。
比較検討した結果、コスト面で最もリーズナブルだったアクロニスのAcronis Backup Cloudを第一候補にして、トライアルで使ってみることにしました。その中で意識してチェックしたのがユーザーインターフェースの部分でした。「いろいろ試しましたが、Acronisの画面は非常に分かりやすく、これであればシステムユニットの社員は誰でも簡単に操作でき、システムを復元できると思いました」(木村氏)。
情報システムユニットは、木村氏以下4人の社員が在籍、同ユニットが立ち上がったのが2017年末で、木村氏以外はIT関連業務の経験はありませんでした。バックアップについて木村氏以外知識がなく、操作が難しいシステムを導入すると、教育のための時間とコストがかかってしまいます。それに対してAcronis Backup Cloudは、マニュアルさえ用意しておけば容易に復元できるものと判断し、導入を決めました。
さらに、Acronis Backup Cloudは、ランサムウェア対策機能があることも大きなポイントでした。基幹系システムはクライアントサーバーシステムなので、クライアント端末にはインターネットと接続する機能が残っています。万一、クライアント端末が感染すると、基幹系システムにも波及する危険性があります。Acronis Backup Cloudなら、ランサムウェアを検知・遮断してファイルを即時復旧、さらには必要であれば攻撃を受ける前の時点のイメージバックアップを復元することで、ランサムウェアの影響がない状態に復旧できることを評価しました。
効果と展望
ヤッホーブルーイングでは、2019年1月からAcronis Backup Cloudの正式な利用を開始しました。最初にフルバックアップを取るのに12時間くらいは必要だろうと考えていましたが、実際には2時間ほどで完了し、非常にスムーズでした 。その後 、毎日、増分バックアップを取っていますが、数分もかからない内に終わります。また、毎日のバックアップ完了をメーリングリストに通知するよう設定しているので、メンバーのバックアップに関する意識が大きく高まりました。加えて、トライアル段階では十分試すことができなかったレポーティング機能についても充実していることが分かり、レポート作成もたやすくできるようになりました。
ヤッホーブルーイングは春から秋にかけてが、ビール出荷が集中する事業の繁忙期になります。その時期はシステム改修などを行うことができないため、そこでシステムの復元を試して、バックアップが正常に取れているかどうかを確認する予定です。また、AcronisBackup CloudがG Suiteをバックアップする機能をサポートすれば、その利用も検討していく考えです。その上で、将来的には基幹系システムのクラウド化を構想しており、ディザスタリカバリを含めたより包括的なデータ保護への取り組みを進めていきます。
ほとんどの人がインフラは動いていて当たり前と考えていますが、ハードウェアの故障だけでなく、セキュリティ上の問題でシステムが止まることもあります。「セキュリティ面での脅威の増大も含めて、バックアップのニーズは今後も拡大していくことは確実です。その対応も含めて、私たちが安心してビジネスに集中できるように、アクロニスには機能を継続的にアップデートしていって欲しいと思います」と木村氏はアクロニスへの期待を語ります。