マネージドサービスプロバイダー(MSP)とは

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サービスプロバイダー向け

マネージドサービスプロバイダー(MSP)とは、複数の IT 運用管理サービスを他の企業に提供する外部の IT パートナーです。近年マネージドサービスプロバイダー(MSP) は、おもにネットワーク経由でリモートからサービスを提供していますが、必要に応じてオンサイト(現地)サポートを提供するケースもあります。これにより、柔軟な対応が可能となり、企業の多様なニーズに応えています。

これまで、マネージドサービスプロバイダー(MSP) の主な顧客は中小企業(SMB)でした。中小企業は、以下のような基本的なITニーズに対してマネージドサービスプロバイダー(MSP) を活用しています。

  • メールソリューションの導入・管理
  • データストレージの最適化
  • ハードウェアの修理・保守
  • ソフトウェアのアップデート
  • データ保護やバックアップ対策

しかし近年では、中堅企業や大企業もマネージドサービスプロバイダー(MSP)を活用するようになってきました。これにより、マネージドサービスプロバイダー(MSP)が提供するサービスの内容は、クライアントの規模やニーズに応じて多様化しています。

たとえば、成長中の企業や大企業では、以下のような高度な IT 支援をマネージドサービスプロバイダー(MSP) に依頼することがあります:

  • ニッチな IT ソリューションの選定と導入支援
  • 社内 IT 体制の見直しと最適化
  • 拡大するビジネスに対応した IT インフラの再設計

マネージドサービスプロバイダー(MSP) の中には、サイバーセキュリティのような特定分野に特化したサービスを提供するプロバイダーも存在します。こうした専門的なマネージドサービスプロバイダー(MSP) は、企業のセキュリティ体制を強化し、ランサムウェアや情報漏洩といったリスクから守る重要な役割を担っています。

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Managed service providers

マネージドサービスプロバイダー(MSP)の基本的な仕組み

企業がITシステムの運用や人材不足に直面した際、頼りになるのがマネージドサービスプロバイダー(MSP)です。

マネージドサービスプロバイダー(MSP)との契約は、まず企業のIT環境を評価するところから始まります。この初期アセスメントにより、業務効率の向上や経営目標の達成に向けて、どのようなIT支援が必要かを明確にします。企業ごとに最適なアプローチは異なるため、マネージドサービスプロバイダー(MSP)は多様なサービスを提供する必要があります。

マネージドサービスプロバイダー(MSP)のサービス提供には、大きく分けて以下の2つのモデルがあります。

1. テクニカルサポート型

このモデルでは、マネージドサービスプロバイダー(MSP) がリモートでトラブル対応を行ったり、必要に応じて技術者を現地に派遣したりします。料金は、対応時間や交換部品の費用に応じて発生する「従量課金制」が一般的です。

2. サブスクリプション型(定額制)

こちらは、月額料金で包括的な IT サポートを提供するモデルです。契約内容(サービスレベル契約(SLA))に基づき、障害対応やシステム保守が行われます。料金体系は「デバイス単位」または「機器単位」で設定されることが多く、契約内容に応じて以下のようなサービスが含まれます。

  • インフラ保守
  • サイバーセキュリティ対策
  • リモート監視
  • レポート作成
  • 応答時間の保証やパフォーマンス評価(高度なサービスレベル契約)

多くのマネージドサービスプロバイダー(MSP) は、自社開発または他社製のマネージドサービスプロバイダー(MSP)向けソフトウェアを活用しています。中には特定のベンダーや技術に特化したマネージドサービスプロバイダー(MSP)も存在し、ハイブリッド型のサービスを展開するケースもあります。

以下にマネージドサービスプロバイダー(MSP)が活用するおもなツールを挙げます。

  • RMM(リモート監視・管理)ツール:ネットワーク、サーバー、PC、モバイル端末の遠隔管理やパッチ適用を自動化
  • PSA(プロフェッショナルサービスオートメーション)アプリ:プロジェクト管理、資産管理、請求、在庫管理などを効率化

マネージドサービスプロバイダー(MSP) は通常、整合されたサービスレベル契約(SLA) の下でクライアントのネットワークを管理します。サービスレベル契約(SLA) は、企業がマネージドサービスプロバイダー(MSP )から期待する主要な機能 (パフォーマンスと品質のメトリック) を定義します。すべての企業は、サービスレベル契約(SLA) の約束を正確に示す必要があります。サービスレベル契約(SLA) は多くの場合、マネージドサービスプロバイダー(MSP) の価格計算式にひもづけられているため、コストを最適化するために重要です。一般的に、マネージドサービスプロバイダー(MSP) はクライアントに幅広いサービスレベル契約(SLA) オプションを提供していて、サービスレベルに応じて料金が上がります。

おもなマネージドサービスプロバイダーの種類とは

マネージドサービスプロバイダー(MSP)の種類は、分類するために選択した基準によって異なります。ターゲットクライアントの規模 (担当する責任) に応じて整理すると、次の3つの主要なカテゴリに分類できます。

純粋なマネージドサービスプロバイダー

これらは、ネットワーク監視とアプリケーションパフォーマンスに焦点をあてた小規模なプロバイダーです。通常、社内でサービスを設計し、アラートとレポート作成に重点を置いています。

従前のマネージドサービスプロバイダーによる人材派遣

この種は通常、中堅企業とフォーチュン 500 企業を対象としています。ここではマネージドサービスプロバイダー(MSP) は、監視、ソフトウェアのインストールとアップグレード、およびレポート作成に重点を置いた幅広いサービスを提供しています。

高いレベルのマネージドサービスプロバイダー

このカテゴリに属するマネージドサービスプロバイダー(MSP) は幅広いサービスを提供します。規模の大小を問わず、クライアントの技術的な業務プロセスを必要に応じて包括的にアウトソースできる体制を整えています。

 

マネージドサービスプロバイダーを活用するメリット

マネージドサービスプロバイダー(MSP) との契約には、次のような多くの魅力的な利点があります。

 

ダウンタイムの最小化(または完全な排除)

マネージドサービスプロバイダー(MSP) を使用すると、企業は重要なシステムを主体的に保護できます。マネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェア提供者は、企業のシステムを継続的に監視し、深刻な問題に発展する前に問題を修正します。

たとえ問題が発生した場合でも、マネージドサービスプロバイダー(MSP) は根本原因分析(RCA) を実施して問題を調査し、再発を防げます。

要約すると、マネージドサービスプロバイダー(MSP) によって、稼働時間を最大化し、ダウンタイムを最小限に抑えることができるのです。

世界中で24時間365日の IT サポート(必要な場合)

リモートアクセスできるマネージドサービスプロバイダー(MSP) を利用すれば、勤務時間外でも常に会社のシステムを監視・管理できます。これにより、ビジネスプロセスのデータとアプリケーションが24時間体制で保護されます。

グローバルプロバイダーが最適なレベルでリモート監視を行うため、オフィスがどこにあっても、専任の専門チームが常に重要なシステムを管理し、リアルタイムで問題を解決できます。

一時的または永続的な IT スタッフの増強

企業は、競争力を維持するために、顧客体験を継続的に改善する必要があります。技術主導のビジネス環境では、企業は競争に勝ち抜くために、より新しく優れた技術に投資する必要があります。

現代の技術は、それを適切に実装するには専任のチームが必要です。現在のチームにそれを実現するための専門知識を持っていない場合は、従業員を追加で雇い入れる必要があります。ただ、チームに参加する適切な IT プロフェッショナルを見つけるのは困難です。

ソフトウェアの展開、資産管理、構成管理、ネットワーク監視、プロジェクト管理はすべて、システムが最新の状態になるまで、専門家が適切に対応する必要があります。

マネージドサービスプロバイダー(MSP) の助けを借りて作業することで、時間、労働力、労力を節約できます。良い点は、社内の専門家を恒久的に雇う必要がないことです。企業は、実装が完了するまでの間だけ、必要な専門家を雇うことができます。これにより、展開にかかるコストとプロジェクトの期限を最適化し、収益源を安定させることができます。

さまざまな技術分野のIT専門家の活用

マネージドサービスプロバイダー(MSP) は通常、各技術分野に特化した専門家が在籍しています。彼らは皆、それぞれの分野で長年の経験を持ち、ソフトウェア展開、パッチ管理、構成管理、サプライチェーン管理を改善するための知識を持っています。

これらは、現場でも、リモート制御マネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェアを介しても実行できます。

柔軟なスケーラビリティ

ビジネスの成長に伴い、システムの拡張や更新が必要になる場面があります。最新のシステムの中には、簡単に拡張できるように構築されているものもあれば、アプリケーションの追加や削除に多大な労力が必要なものもあります。たとえ簡単に拡張できるシステムであっても、拡張する際に専門家による支援が受けられます。

マネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェア提供者は、導入計画段階からアドバイスができます。アプリの主要な機能を選定し、実装中のネットワークセキュリティを強化し、プロセスを合理化するための重要な通信ツールを提供できます。

次のセットアップでは、進行中のプロジェクトのニーズに応じて、簡単に拡張(スケールアップ)または縮小(スケールダウン)できます。スケールダウンが必要であれば、マネージドサービスプロバイダー(MSP) は、賢明な実現方法についてアドバイスします。スケールアップが必要なら、マネージドサービスプロバイダー(MSP) はチームの問題を解決する専門家を提供します。

社内の IT 人材の採用負担を軽減

これについては前述していますが、それは今日のテクノロジー業界でもっとも重要なメリットの1つだからです。

複数の分野の IT 専門家に加え、サイバーセキュリティの専門家を必要に応じ活用して組織のネットワークを保護できます。このような専門家は、パッチ管理、リモートアクセスセキュリティ、リモート制御プロトコル、専門ソフトウェアプラットフォーム、クラウドベースのマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェア、強化されたセキュリティ機能、セキュリティ脅威、安全なモバイルアクセス、リモートサポート、自動修復などに優れています。

ここでは、リモート監視により、IT 専門家がその場所にいなくても、24時間365日システムとつなげられます。会社に最適なマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェアと組み合わせれば、それぞれの専門家を1人ずつ採用する手間をかけずに完全なサービスを受けることができます。

最後に、マネージドサービスプロバイダー(MSP) の専門家チームは、データ侵害を未然に予測・防止するために必要な重要ソフトウェアを調達できます。

社内 IT チームの負担軽減

御社がサイバーセキュリティを専門としていない限り、データ保護とビジネスの中核を担うプロジェクトは同じ軸で進めることが難しいでしょう。

そのため、社内の IT 担当者はシステム全体のトラブル対応に追われ、本来注力すべきビジネス成長に直結するプロジェクトに十分な時間を割けなくなる可能性があります。

マネージドサービスプロバイダー(MSP) を活用することで、こうした負担を軽減することが可能です。マネージドサービスプロバイダー(MSP) は複雑なネットワークの保護を担い、社内 IT チームは顧客ネットワークの拡張、アカウント管理の効率化、ユーザーアクセスの最適化、そして顧客満足度の向上といった、より戦略的な業務に集中できます。

サービスレベル契約による事業継続性の向上

前述のとおり、サービスレベル契約(SLA) は、お客様とマネージドサービスプロバイダー(MSP) との間で交わされる明確な合意文書であり、提供されるサービスの内容、期待される応答時間、パフォーマンスの評価基準などを定義します。

サービスレベル契約(SLA) は、社内 IT チームが顧客との関係を強化し、コミュニケーションを形式化し、生産性と士気を向上させるための有効な手段となります。

優れたマネージドサービスプロバイダー(MSP) であれば、最適なサービスレベル契約(SLA) に基づいた運用を支援します。たとえば、顧客からの返信待ちの間は対応時間を一時停止するように設計されたサービスレベル契約(SLA) を活用することで、情報システム部の実際の成果に即した現実的な応答時間の把握が可能になります。

さらに、リモートアクセスによるパッチ管理やシステム監視を導入することで、マネージドサービスプロバイダー(MSP) がデータセキュリティの専門家として機能し、人的ミスによるデータ漏洩のリスクを未然に防ぐことができます。

 

マネージドバックアップおよびディザスタリカバリ(災害復旧)サービスによるデータ損失の軽減

マネージドサービスプロバイダー(MSP) が提供するソフトウェアを活用することで、あらゆるレベルでのデータ保護が容易になります。自動データバックアップ、データ暗号化、ディザスタリカバリ(災害復旧)といった業務をマネージドサービスプロバイダー(MSP) に委託することで、重要なビジネス業務に集中でき、常にデータの安全性を気にする必要がなくなります。

さらに、サイバーセキュリティ基盤の管理についてもマネージドサービスプロバイダー(MSP) が対応するため、企業側の負担を大幅に軽減できます。信頼性が高いソリューションでは、ネットワークの検出、サーバーおよびクライアントネットワークの監視を行い、即時アラートによってサービス中断のリスクを最小限に抑えます。多くの高度なマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェアであれば、機械学習に基づくレポート機能を備えており、最新の脅威からITシステムを保護します。

また、サービスレベル契約(SLA)を変更し合意できれば、企業独自のレポート作成、全社のデバイスおよびアカウントを対象に多要素認証の導入、クラウドコンピューティングによる業務データの処理が可能になります。

たとえば、「Acronis Cyber Protect Cloud」を中核プラットフォームとして活用すれば、複数のデバイスやチャネルにわたって安全なデータアクセスを実現するグローバルダッシュボードを構築できます。これにより、担当者はどの有効化されたデバイスからでも、いつでも保護されたデータにアクセスできるようになります。最終的には、企業全体のデータトラフィックを可視化し、統合的な管理が可能となります。

 

従量課金型サービスによる予算管理の最適化

社内の IT チームを構築・維持する代わりに、マネージドサービスプロバイダー(MSP) を活用することで、コスト効率の高い運用が可能になります。マネージドサービスプロバイダー(MSP) を利用すれば、高度な専門知識を持つ人材を新たに採用・育成する必要がなくなります。さらに、24時間365日のリモートサポートとシステム監視が提供されるため、間接費の削減にもつながります。

マネージドサービスプロバイダー(MSP) では、企業が本当に必要とするサービスだけに対して料金を支払う仕組みとなっており、不要な支出を排除できます。

 

パッチ管理の効率化

パッチ管理は、あらゆるサイバーセキュリティ戦略の重要な要素の1つです。パッチを迅速に適用することで、既知の脆弱性を悪用されるリスクを回避できます。しかし、手動でのパッチ適用には多大な時間と労力がかかる場合があります。そこで、マネージドサービスプロバイダー(MSP) が提供するソフトウェアを活用することで、このプロセスを自動化し、効率的に対応することが可能になります。

近年マネージドサービスプロバイダー(MSP) は、クライアントネットワークを細心の注意を払って監視しています。複数のクライアントと連携する場合でも、安全なリモート監視と暗号化されたリモートアクセスを確保し、各企業のニーズに最適化されたパッチ管理をします。優れたマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けのソフトウェアにより、セキュリティソフトウェアベンダーとの継続的な連携を可能になり、企業に対して持続的なデータ保護を実現します。

 

効率的なリモート監視

リモート監視については、前のセクションでいくつか触れましたので、ここでは簡単に説明します。

マネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェア提供企業は、長年にわたりリモートアクセスツールの精度と信頼性を高めてきました。包括的なソリューションを導入することで、専任の現地チームを配置することなく、データトラフィック、アプリケーションのパフォーマンス、Web サイト、サーバー、セキュリティ脅威などをリアルタイムで監視できます。

また、主要な PC だけでなく、モバイルデバイスを含むすべてのエンドポイントを保護できます。現代の職場環境では、Android 端末と Apple 製品の両方が混在しているケースが一般的です。ハイブリッド型のソリューションであれば、従業員が使用するいずれのデバイスにも対応し、企業に対するセキュリティリスクを最小限に抑えることができます。

 

マネージドサービスプロバイダー導入における課題

マネージドサービスプロバイダー(MSP)には多くの利点がありますが、導入にあたってはいくつかの課題も存在します。たとえば、以下のような点が挙げられます。

  • 多くのマネージドサービスプロバイダー(MSP) は、ファイアウォールやマルウェア対策など、限定的なデータセキュリティサービスしか提供していません。包括的なサイバーセキュリティ対策を求める場合は、マネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP) の利用を検討する必要があります。
  • サービスレベル契約(SLA)への依存度が高いため、マネージドサービスプロバイダー(MSP) が契約条件を満たさない場合、ビジネスにリスクが生じる可能性があります。
  • 多くのマネージドサービスプロバイダー(MSP) はクライアント企業の所在地とは異なる場所からリモートで IT インフラを管理しているため、現地でのサポートが必要な場合は追加費用が発生します。
  • 一部のマネージドサービスプロバイダー(MSP) は独自の技術やツールを使用しており、契約終了時にクライアントが自社データへアクセスしにくくなるリスクがあります。
  • マネージドサービスプロバイダー(MSP) との契約開始時には初期費用が高額になることがありますが、新たな技術を自社で購入する必要がない点を考慮すれば、投資対効果(ROI)妥当な場合があります。
  • すべてのマネージドサービスプロバイダー(MSP) があらゆる技術やアプリケーションをサポートできるわけではないため、対象外のサービスについては代替手段を用意する必要があります。
  • クラウド導入に精通していないマネージドサービスプロバイダー(MSP) も存在します。新たなプラットフォーム構築、顧客体験の向上、組織のデジタルニーズへの対応においてクラウドが重要な役割を果たしているため、マネージドサービスプロバイダー(MSP) にはクラウド対応力の強化が求められます。クラウドに精通したマネージドサービスプロバイダー(MSP) と連携することで、企業全体のクラウドに対する認識も向上します。

 

マネージドサービスプロバイダーが提供する主なサービス

マネージドサービスプロバイダー(MSP) が提供可能なサービスには、以下のような種類があります。

  • ヘルプデスク対応
  • エンドポイント管理(PCやモバイル端末などの管理)
  • インフラストラクチャ管理(ネットワーク、サーバー等の運用管理)
  • バックアップの管理(自動化されたデータ保護)
  • アプリケーションの管理サービス(業務アプリの運用支援)
  • エンドポイントのセキュリティ(ウイルス対策、脅威検出など)
  • Microsoft 365 の管理サービス(導入・運用・保守)
  • ビジネスVoIP(IP電話サービスの導入・管理)
  • プリンターの管理サービス
  • データベースの最適化/管理
  • クラウドサービスの運用管理(AWS、Azure、Google Cloudなど)
  • IT人材の補強(スタッフの一時的な増員支援) 
  • IT戦略支援サービス(中長期的なIT計画の策定支援) 
  • ファイアウォールやマルウェア対策などの部分的なデータセキュリティサービス(ファイアウォール、マルウェア対策など)

 

マネージドサービスプロバイダー(MSP)のビジネスモデルとは

IT マネージドサービスの概念を理解するには、故障・修理サービスと比較することです。

従来の故障・修理モデルでは、問題が発生した際にその都度料金を支払う単発型のサービス提供が一般的でした。一方で、現在の多くのマネージドサービスプロバイダー(MSP) はサブスクリプションモデルを採用しており、継続的な収益を確保しながら、顧客との関係を深め、解約率(チャーン)の低減を図っています。

サブスクリプションサービスでは、マネージドサービスプロバイダー(MSP) が特定のシステムに責任を担い、継続的に IT サービスを提供します。契約は通常、月額の定額料金で締結され、サービス内容はサービスレベル契約(SLA) に明記されます。料金体系は以下のいずれかで設定されるのが一般的です

  • デバイス単位課金:管理対象のデバイスごとに定額料金を設定
  • ユーザー単位課金:ITサポート対象のユーザーごとに定額料金を設定
  • 包括型課金:提供されるすべてのサービスを含めた定額料金を設定

また、サービスレベル契約(SLA) の内容に応じて料金が変動する場合もあります。たとえば、特別対応や直接のサービスを求める場合、基本的なサービスよりも高額になることがあります。

 

世界トップクラスのマネージドサービスプロバイダーとは

世界的に著名なマネージドサービスプロバイダー(MSP)には、米国の大手企業である IBM、Accenture(アクセンチュア)、Cognizant(コグニザント) などがあります。 また、インドもこの分野のリーダーとして知られており、Tata Consultancy Services(TCS)、Infosys(インフォシス)、Wipro(ウィプロ)、HCL Technologies(HCLテクノロジーズ) などが、いずれも数十億ドル規模の売上を誇る企業として世界市場で存在感を示しています。

 

米国にあるマネージドサービスプロバイダー

米国には約3,500のマネージドサービスプロバイダー(MSP) が存在するとされています。以下は、Enterprise Management 360 誌(2018年)による、世界トップ10のマネージドサービスプロバイダー(MSP) 企業です。

  1. IBM
  2. Atos
  3. Infosys
  4. Cognizant
  5. Wipro
  6. Tata Consultancy Services
  7. HCL Technologies
  8. Capgemini
  9. Datapipe
  10. Accenture

 

マネージドサービスプロバイダー向けのツールと求められる機能

マネージドサービスプロバイダー(MSP) は、ビジネスの継続運用に不可欠な多様なサービスを提供する必要があり、その実現には高機能なマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェアが欠かせません。マネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けツールは、リモートでのシステム監視・管理から、セキュリティ対策、請求書の発行に至るまで、幅広い業務を効率化します。

用途は多岐にわたりますが、以下は、現在のマネージドサービスプロバイダー(MSP) にとって不可欠なツールカテゴリ一覧です。

  1. 財務・会計管理ツール 例:QuickBooks、Microsoft Dynamics GP、FreshBooks(請求書の自動発行など)
  2. プロフェッショナルサービス自動化(PSA)ツール 例:Autotask、ConnectWise Manage、Kaseya BMS(クライアント管理、サーバー監視など)
  3. リモート監視・管理(RMM)ツール 例:ConnectWise Automate、Autotask Endpoint Management(高度なレポート機能を含む)

これらのツールの多くは、高度な自動化機能を備えており、マネージドサービスプロバイダー(MSP) がより効率的に業務を遂行できるよう設計されています。

上は、マネージドサービスプロバイダー(MSP) ビジネスの管理に欠かせないツールのリストですが、もう1つの重要なマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けのツールは、マネージドサービスプロバイダー(MSP) ビジネスの継続ができるようにするツールです。つまり、世界のデジタル化が進むにつれて、マネージドサービスプロバイダー(MSP) の87%がクライアントにバックアップおよび復旧サービスを提供しており、もはや、バックアップとディザスタリカバリ(DR/災害復旧)は付加価値ではなく、事業継続に不可欠な中核機能と位置づけられています。マネージドサービスプロバイダー(MSP) 自身がインフラを保有している場合、バックアップとディザスタリカバリ(災害復旧)のためのマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けソフトウェアを活用することは極めて重要です。なぜなら、マネージドサービスプロバイダー(MSP) のシステムが停止すれば、その影響はクライアント企業にも及ぶためです。

 

プロの視点からのアドバイス:

マネージドサービスプロバイダー(MSP) がバックアップおよび災害復旧(ディザスタリカバリ・DR)ソリューションを選定する際には、ランサムウェア対策機能が統合されているかどうかを重視すべきです。これは、システムやバックアップデータ、さらにはバックアップエージェント自体を攻撃から守るために不可欠な要素です。

 

マネージドサービスプロバイダープログラムとは

「パートナープログラム」とも呼ばれるマネージドサービスプロバイダープログラムは、ソフトウェアやハードウェアのベンダーがマネージドサービスプロバイダー(MSP) 向けに提供する支援制度です。マネージドサービスプロバイダー(MSP) がビジネスを構築・拡大するための支援を目的としており、以下のような多様なメリットが提供されることがあります。

  • セールス
  • マーケティング
  • アプリへのドラッグ&ドロップ機能の追加といった簡易な技術支援
  • MDF(マーケティング開発資金)の提供
  • 利益率を高めるための販促機会
  • 研究開発プロジェクトへの参加機会
  • 製品別トレーニング

マネージドサービスプロバイダー(MSP) がサービスを成功裏に提供するために必要なさまざまなリソースが、このプログラムを通じて提供されます。

 

プロの視点からのアドバイス:

クライアントに不可欠なサービスを提供するソリューションを選定する際には、優れたパートナープログラムの価値を正しく評価することが重要です。マネージドサービスプロバイダー(MSP) のニーズを深く理解しているベンダーと連携することで、サービス提供の効率が高まり、ビジネスの成長も加速させてくれます。

Acronis について

Acronis は、2003 年にシンガポールで設立されたスイスの企業で、世界 15ヵ国にオフィスを構え、50ヵ国以上で従業員を雇用しています。Acronis Cyber Protect Cloud は、150の国の26の言語で提供されており、21,000を超えるサービスプロバイダーがこれを使って、750,000 以上の企業を保護しています。